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ビジョン・クエスト 青春の賭け

2007.07.07(04:49)
原題 Crazy for You
1985年 アメリカ
製作 ジョン・ピーター、ピーター・グーバー
脚本 ダリル・ポニクサン
監督 ハロルド・ベッカー
撮影 オーウェン・ロイズマン
主演 マシュー・モディン、リンダ・フィオレンティーノ、マイケル・ショーフリング、ロニー・コックス、ハロルド・シルヴェスター



この映画は、80年代の青春映画の隠れた名作であると思います。

ストーリーは、レスリングに熱中するアメリカの高校生、ラウデン・スウェイン(マシュー・モディン)が、減量をして全米高校チャンピオンのシュートに挑戦するという話です。

レスリングのトレーニングと併行しながら、カーラ(リンダ・フィオレンティーノ)との恋愛の話があったりしますが、この映画のテーマというのは、肉体に対する疑いなき賛美であります。

マシュー・モディンが、自意識のない、さわやかな青年というものを完璧に演じきっていて、この映画を観ると一切の精神的葛藤も、心の闇も何もありませんが、観終わったあとには爽やかな気持ちだけが残ります。

普通、「欠点のあまりないヒーロー」というものを描く場合には、そのヒーローに対して観ている観客に人間的な親しみの感情を持たせなければいけないと思います。

この映画でいうと、主人公のラウデンは背が高く、筋肉はムキムキとしていて、それとともに、レスリングは強いは、勉強は出来るは、性格は真っ直ぐで筋が通っているは、という感じで、いわゆる「完全無欠のヒーロー」ということになり、ともすると、観客はこういったヒーローに共感を得ないのではないか?と私は思ってもみました。

しかしながら、少なくとも言えることは、マシュー・モディンは、このラウデンという役を演じきっているということです。マシュー・モディンという役者は、「メディカル・レッスン 青春解剖学」という映画でも、自意識をあまり感じさせない若者を演じていましたが、どうやらそういう爽やかな役柄を得意とするようです。

そしてまた、この映画は、単純なストーリーで深みが無いといわれればそれまでですけれども、それにもかかわらず、アメリカという国を理解する上では、非常に重要な作品といえるのではないでしょうか。

すなわち、アメリカにおいては、今も昔も肉体の力強さというものを全面的に信頼する風土があって、「スポーツというものは、青年が健康的に成長するために重要なことなのだ!」、というメッセージが、ひしひしと画面を通して伝わってきました。

そうです。この映画を観ると、スポーツの楽しさというものを、スポーツをあまり嗜まない人でさえも、おそらく知ることが出来るに違いありません。少なくとも、観念的にスポーツについて、青年にとっての肉体的鍛錬とはどういうことか?ということについて、知ることが出来るでしょう。

また、最後におまけで付け加えると、この映画の主題歌を歌っているマドンナが、ディスコのシーンで出演しているのも見逃せないポイントです。ヒット曲、「Crazy for you」を歌っています。
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セント・エルモス・ファイアー

2007.06.30(21:46)
原題 St. Elmo's Fire
1985年 アメリカ
製作 ローレン・シュラー・ドナー
脚本 ジョエル・シューマカー、カール・カーランダー
監督 ジョエル・シューマカー
撮影 スティーブン・H・ブラム
音楽 デイヴィッド・フォスター
主演 エミリオ・エステヴェス、ロブ・ロウ、アンドリュー・マッカーシー、デミ・ムーア、ジャド・ネルソン


この映画は実によく出来た青春映画の傑作のひとつに数えられると思います。

セント・エルモス・ファイアーをみていて、90年代にヒットしたリアリティー・バイツと重なる部分がありましたが、セント・エルモス・ファイアーの方がより、切なく、若者のやりきれなさ、大学を出たばっかりの若者たちの苦悩というのがより厳しく描かれていると思います。

ストーリーは、米国のワシントンの名門大学を卒業した仲良しの7人が、それぞれの卒業後の仕事であるとか、友人の間において発生した恋愛問題などに苦しむという話です。

この頃の青春映画によくでてくる、ロブ・ロウであるとか、アンドリュー・マッカーシー、デミ・ムーアなどの若い頃の姿をこの映画で観ることが出来ます。

私はこの映画を観る前に、「どうせ、お気楽、極楽な80年代の青春映画だろう」という風にとらえていました。観る前に固定観念でもって映画を判断することはよくないことですね。

思った以上にすぐれた映画だと思いました。

登場人物が多いことで、まとまりのない映画なのではないかともはじめは思いましたが、最後まできちんと複数の登場人物の人生が入れ替わることで、また、それぞれの人生が重なり合うことで、一つの青春映画になっています。

ラストまで観切ると、ちょっと痛々しい切なさというものが残る映画ですが。

それは、この映画に出てくる若者たちを、それぞれ、「何もつかんでいなくて、苦悩している有様」というものを克明に描いているからだと思います。

「何かを達成する」というストーリーでない場合には、このセント・エルモス・ファイアーのように、人生の割り切れない部分というものがどうしても浮かび上がってくるものです。

ただ、個人的には、この映画の中で、弁護士を志望していたカーボ(エミリオ・エステヴェス)が、女医をしているデール・バイバーマン(アンディ・マクダウェル)に対して恋する話に関しては、「ちょっと、これは掘り下げが足りないのではないか」という風に思いました。

カーボの情熱的という風に描かれている行動が漫画的に見え、最終的に「あれは何だったのか」という風な終わり方になっています。単に、カーボという男が表現する、“男の純情”というものを描きたかっただけなのかどうなのか、よくわからないですが、アンディ・マクダウェルのファンのひとりとしては、ちょっと物足りない部分ではありました。
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スパニッシュ・アパートメント

2007.06.30(18:07)
原題 L’Auberge espagnole
2001年 フランス、スペイン
製作 ブリューノ・レヴィ
脚本 セドリック・クラピッシュ
監督 セドリック・クラピッシュ
撮影 ドミニク・コリン
音楽 ロイク・デュリー
主演 ロマン・デュリス、ジュディット・ゴドレーシュ、オドレイ・トトゥ、セシル・ド・フランス、ケリー・ライリー


この映画は、ヨーロッパへの留学であるとか、バックパッカー旅行が好きな人は観ると楽しめる映画かもしれません。

ストーリーは、作家に憧れる若者グザヴィエ(ロマン・デュリス)が、スペインへ留学をし、バルセロナでヨーロッパ各国から集まった若者たちと一つのアパートで共同生活をするという話です。

正直言って、あまりたいしたことはない映画だとは思いますが、それにもかかわらず、「ヨーロッパの雰囲気」を味わうためだけにこの映画を観る価値はあります。

人物については、主人公のグザヴィエは決して魅力に富んだ男というわけでもないし、観る人が熱心に感情移入が出来るような役者でもないと思います。

しかしながら、主人公のグザヴィエと母親の関係を、ちょっとマザコン気味に描いているというのは細かい演出だと思いまして、作家の気質のある男というのは、三島由紀夫も指摘しているようにマザコンの気質があるようです。

気になったシーンでいうと、グザヴィエが道ならぬ恋に陥り、アンヌ・ソフィ(ジュディット・ゴトレーシュ)と肉体関係を結ぶシーンで、グザヴィエが裸になり、アンヌのほうは服を着たまま交わっているのを観て、何とも情けない有様だと、可笑しくなってしまいました。

ああいったシーンで、男だけが裸になっているというのは、男の方の必死さが伝わってきて痛々しいものです。

あえて、「若さ」とか、「必死さ」を伝えようとして、ああいう風にグザヴィエだけを裸にしたのかどうなのか私は知るよしもありませんが。
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メディカル・レッスン 青春解剖学

2007.06.29(19:45)
原題 A CUT ABOVE/GROSS ANATOMY
1989年 アメリカ
脚本 ロン・ナイスウェイナー&マーク・スプラッグ
監督 トム・エバーハート
主演 マシュー・モディン、ダフネ・ズニーガ


この映画は、マシュー・モディンが出演している映画であるという、ただそれだけの理由で観ました。中々の80年代青春映画であると思います。

80年代の青春映画というものをどのように規定すればいいかという問題は、映画ファンであればとても重要なことだと思うんですが、やはり、テーマとして「あまり、深刻ぶらないスタンス」であるとか、「明るさ」というものがあると思います。

このメディカル・レッスンという映画も、とても明るい映画です。医学生のジョー・スロバク(マシュー・モディン)を取り巻く友人や恋人との物語、というのが全体のストーリーであって、ジョー・スロバクはなぜか、勉強もスポーツもこなすスーパーマンという設定になっています。
ジョー・スロバクは、暗記力がやたらといいという青年であり、試験勉強をあまりしなくてもテストで好成績を残します。「天才」というのがよく物語のテーマとして出てきますけれど、ある種、こういったメディカル・レッスンのような映画というのは、鑑賞していて肩が凝らなくていいという印象があります。

頭の中でほとんど何も考える必要がないのです。すなわち、ストーリーを一生懸命に追う必要もなければ、登場人物の心の動きというものに気を配る必要もありません。

私はこういった映画というものを非常に大切に考えていまして、人々の心にいつまでも残る作品では必ずしもないかもしれませんが、心の疲れは確実に癒してくれるだろうという作品だと私は思います。

もう一つ、問題点をあげるとするならば、こういった映画が作られるということは、それだけ、人々が「青春」というものに対して、かくあるべきだという期待があり、この映画のような楽しい青春、華々しい青春を送れなかった人々というのが、この映画を観て失われた青春を取り戻すという機能があると思うのです。

それは実際に、青春期の真っ只中にいて、青春を謳歌していないような若者にもあてはまることです。

映画には、そういう自己耽溺のような作用があって、それが正常に作用している限りは想像力の力によって、自己の想念の中で喜びを味わえるのであるから、それはそれで素晴らしいことだと私は思うのです。
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アシッド・ハウス

2007.06.29(19:34)
原題 the acid house
1998年 イギリス
脚本 アーヴィン・ウォルシュ
監督 ポール・マクギガン
主演 ユエン・ブレンナー、ケビン・マクギッド、スティーブン・マッコール、アーリーン・コックバーン


この映画はトレインスポッティングの原作者、アーヴィン・ウォルシュの短編集がオリジナルの作品であって、アーヴィン・ウォルシュはこのアシッド・ハウスで脚本もつとめています。
3話のオムニバス作品であり、おもに、イギリスの労働者階級の若者の生活というものを克明に描いています。

3話はいずれも、人生のどうしようもなさ、生活における絶望感というものを根底のテーマとしており、2話目が一番切ないですね。

2話目というのが、「気のいい若者」が妊娠した、どちらかといえば奔放が過ぎる女性と出会って、結婚してしまい、その女性をアパートの隣人の男に寝取られるという話です。

隣人の男は野蛮なチンピラであって、あらゆるこの世の悪徳というものがその肉体に詰まったかのような、そんな男です。

奥さんとそのチンピラの男に翻弄されつつ、それにもかかわらず、奥さんを愛してしまうというその人間性にかかわるどうしようもなさ、人間の心の弱さといったものをアーヴィン・ウォルシュはうまく描いていると思います。

「弱者の視点に立った作品」であるとか称するには、あまりにも切なく、絶望的なので、それくらい悲劇というものに正面から立ち向かった作品ということでかなりの価値があると思います。
また、華やかなロンドンの街並みなんかとは全く異なった、イギリスの労働者階級の街というのが鮮明に映し出されています。

イギリスの労働者階級の生活というのは、これほどまでに残酷であって、その絶望感たるや我々の想像を絶するものであると、そんな作り手のメッセージが伝わってくるような映画です。

映画全体についていうと、3話ともイギリス特有の、ユーモアや皮肉といったものが作品の根底に流れており、それがまた映画を単なるメロドラマでなくさせている要因ではないかと思います。

最後におまけで付け加えておくと、この映画の3話目で、トレインスポッティングに登場したユエン・ブレンナーがサッカー好きの青年の役で出ています。

この役者は実に面白いキャラクターだと思います。異形の存在感というものを際立たせていて、現代イギリスにおける素晴らしい俳優の一人ではないでしょうか。
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