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ケープ・フィアー

2007.06.29(17:02)
原題 Cape Fear(1991)
1991年 アメリカ
製作 バーバラ・デフィーナ
脚本 ウェズリー・ストリック
監督 マーティン・スコセッシ
撮影 フレディ・フランシス
音楽 エルマー・バーンスタイン
主演 ロバート・デ・ニーロ、ニック・ノルティ、ジェシカ・ラング、ジュリエット・ルイス


この映画は、復讐というテーマに真っ向から挑んだ作品であり、主人公の執拗な復讐の仕方、追い詰め方といったものに観る人は度肝を抜くであろう映画です。

私は、マーティン・スコセッシが監督し、ロバート・デ・ニーロが出演した作品しか観たことがないので、このマーティン・スコセッシ版のケープ・フィアーについて解説することにします。
ストーリーは、出所したマックス(ロバート・デ・ニーロ)が、かつて自分を裁判で救うことが出来なかった弁護士サム・ボーデン(ニック・ノルティ)に復讐を果たすために、弁護士とその一家を破滅に追い込もうとする物語です。

ロバート・デ・ニーロがこの映画でも素晴らしい演技をしており、マックスの残忍性や、その異常にも思われる復讐の信念を軸とする、執着心溢れるその性格をうまく熱演しています。

この映画では、マックスと弁護士一家の生活というものを対比させて描くことで、アメリカの社会の階級性を浮き彫りにしています。弁護士一家というのは、典型的なアメリカによくみられるような中流の家庭であり、弁護士サム・ボーデンも、絵に描いたようなアメリカのエリートです。

弁護士という職業そのものに、批判的なまなざしというものもこの映画では向けられていて、物語をより重層的に、複雑な感じに仕上げています。

というのは、この映画において、弁護士サム・ボーデンは過去において、マックスを「正義のために」正しく弁護しなかったという風に主張していますが、それにもかかわらず、この映画を観ていると、いつの間にか、悪役のであるはずのマックスの方に肩入れをしたくなる、そんな描き方もしているからです。

そういった点が、この映画の素晴らしいところであり、悪を徹底的に悪として描く一方で、弁護士一家が持ち合わせているような、善良な市民としての悪辣さも浮き彫りにしているのです。

「悪とは何か」という哲学的なテーマに踏み込んだ映画だと思います。それとともに、映画の終盤にさしかかると、あまりにも強烈なクライマックスにこの映画を観る人は手に汗を握ると思います。(でも、あまり、ストーリーについては詳しくは書きません。)

また、この映画は、アメリカの貧しい人々にとって、一種のカタストロフィーの役割を果たしているのではないかとも思いました。それだけ、アメリカ社会というものが暗部を秘めており、弱者が虐げられて、巨大企業が国を支配するような、ある種の支配構造が全面的になっている社会において、この映画のロバート・デ・ニーロのアンチヒーローぶりというのが、小気味よくうつるであろうことは間違いないからです。

弁護士というような社会における特権階級の人物が、マックスのようなチンピラによって翻弄されるというストーリー、ここに何かこの映画の秘密、アメリカ社会の内に秘めた憎悪というものが感じられてならないのです。
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アメリカン・ジゴロ

2007.06.29(16:45)
原題 American Gigolo
1980年 アメリカ
製作 ジェリー・ブラッカイマー
脚本 ポール・シュレイダー
監督 ポール・シュレイダー
撮影 ジョン・ベイリー
音楽 ジョルジョ・モロダー
主演 リチャード・ギア、ローレン・ハットン


この映画はリチャード・ギアのファンであれば、どうしてもおさえておかなければならない作品であると思います。

ストーリーは、ビバリーヒルズの高級住宅街で金持ちの女性専門のホストの仕事をやっていた男ジュリアン(リチャード・ギア)が、上院議員の夫人ミシェルと知り合い、その後、複雑怪奇な事件に巻き込まれていくというサスペンスです。

サスペンスとしての面白さという点ですと、あまり高評価というものを与えることは残念ながら出来ません。

しかし、リチャード・ギアがホストの役をやっていて、この映画の題名にもあるように、アメリカン・ジゴロということで、「アメリカ人が抱くジゴロ観」というものがとてもよくわかり、その意味で大変興味深い映画になっています。

圧巻なのは、リチャード・ギアが「肉体を鍛錬する」といって、逆さづりになり、ウェイトトレーニングをするシーンです。

また、作中ではリチャード・ギアは、ヨーロッパの言語を何ヶ国語も喋れるという設定になっており、これなどは、作り手の卑屈な感情が投影されているのではないか?といった勘繰りもしたくなるような人物描写のやり方です。

そうではあっても、この映画の中で、リチャード・ギアがオープンカーを乗り回し、マチスモ(男性優位主義)をあからさまに主張するかのようなたくましい肉体を誇示し、何ヶ国語も喋るというようなインテリ性も持ち合わせているという人物設定には、これはあくまでフィクションとしてそれを受け入れるならば、そして、この映画をある種の漫画として楽しむのであれば、十分にエンターテイメントとしての価値を持っている作品だと私は思います。
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パッショネイト 悪の華

2007.06.28(18:38)
原題 Village Dreams
1983年 アメリカ
製作 ジーン・カークウッド
脚本 ヴィンセント・パトリック
製作 ジーン・カークウッド
脚本 ヴィンセント・パトリック
監督 スチュアート・ローゼンバーグ
撮影 ジョン・ベイリー
音楽 デーヴ・グルーシン
主演 ミッキー・ローク、エリック・ロバーツ、ダリル・ハンナ

この映画はチンピラ・マフィア映画の佳作ではないかと思います。
カテゴリー的には、マフィア映画の範疇に入るかもしれませんが、もっと細分化するのであれば、チンピラ・マフィア映画なのです。

舞台はニューヨークのグリニッチ・ヴィレッジであり、レストランの支配人であったチャーリー(ミッキー・ローク)は、弟分のポーリー(エリック・ロバーツ)が伝票をごまかしたせいで、二人ともレストランを解雇されるという憂き目にあってしまいます。

チャーリーは、恋人のダイアン(ダリル・ハンナ)からまともな職業につくことをすすめられますが、弟分のポーリーから金庫破りの仕事をもちかけられ、ためらいながらもだんだんと悪の道に引きずりこまれていく、というストーリーです。

ミッキー・ロークのファンであれば、この映画は十分に楽しめる映画であると思います。ミッキー・ロークの出演映画では、「ナイン・ハーフ」の方が名作であろうことは、これはもう誰の目にも明らかですが、この「悪の華 パッショネイト」という映画が、どんなにつまらない、取るに足りない作品であろうとも、そうした作品のつまらなさを補うだけの存在感、演技力というものをミッキー・ロークがもっています。

この映画のストーリー全体に目を向けると、成功を夢見るチャーリー(ミッキー・ローク)が、ドジな弟分のポーリー(エリック・ロバーツ)に常に足を引っ張られるという構図になっていて、それがどうもこの映画の主題ではないか?という気がしてくるのです。

チャーリー(ミッキー・ローク)が弟分のポーリー(エリック・ロバーツ)のダメさ加減に気がつきながらも離れられないでいるというのは、チャーリーの人のよさであって、どちらもチンピラではありながらも人間の本質的な部分で悪になりきれない、人間の弱さというものを描いている映画だという風にも思います。

端役で圧巻なのは、エディ(バート・ヤング)であり、彼は組織のボスを熱演していて、脂ぎった顔つきとギョロリと光る目が、この映画に緊張感と凄みといったものを与えています。

この映画を観終わったあとというのは、ちょっと消化不良感をおさえられないプロットという印象をもちましたが、ニューヨークの場末の雰囲気であるとか、ミッキー・ロークの冴え渡る演技といったものを加味すると、やはり、チンピラ・ギャング映画としてはかなりの重要性をもった映画なのではないかという感想を持ちました。

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ウォール街

2007.06.26(01:34)
原題 Wall Street
1987年 アメリカ
製作 エドワード・R・プレスマン
脚本 オリヴァー・ストーン、スタンリー・ワイザー
監督 オリヴァー・ストーン
撮影 ロバート・リチャードソン
音楽 スチュワート・コープランド
主演 チャーリー・シーン、マイケル・ダグラス

ニューヨークのウォール街を舞台にした金融ドラマです。

これは、血気盛んな証券マンが一攫千金を求めて証券市場で戦うというストーリーですが、ビジネスマンを描いた映画が思ったよりも少ないので、ある意味、貴重です。

若い証券マンの主人公はチャーリーシーンが演じていて、顔つきからいっても肉体的にもウォールストリートにいそうな証券マンということで実に役柄にあっていると思います。

この映画には、悪役の大富豪が出てくるのですが、その役はマイケル・ダグラスがやっていて、マイケル・ダグラスが株主総会で「大演説」をふるうシーンはとても圧巻でした。

アメリカの資本主義というものを考えるひとつのきっかけにこの映画はなると思います。
マイケル・ダグラスは、この映画の中でとても冷酷無比な役を演じきっていて、リムジンの中で、街の通りにたまたまいた背広を着た男と、野宿者風の男を二人見比べながら、チャーリーシーンに向かってこういいます。「あの二人の人生を分けたのは、運命だけか」と。

こういったビジネスマンを描くドラマが少ないことについて、ちょっと前に考えましたが、どうもビジネスマンというのはドラマにしにくいのかなあという感じです。

ビジネス戦争などといわれるように、ビジネスが戦争によくたとえられたりしますが、映画を作るのであれば、実際の戦争を描いた戦争映画のほうがよく作られますし、テーマということにしぼっていうと、普通のビジネスというのはあまり物語にされにくいというのが実感としてあります。

会社で働いている人にとっては、毎日がドラマの連続であり、また、さまざまなことも起こりうるのでしょうが、それにつけても、映画をみにいくという行為によって、たとえば、日頃の自分の日常生活に近い、ビジネスの映画をみさせられたとあっては、ちょっと現実逃避が出来ないということもあるかもしれません。

そういうわけで、このウォール街という映画は、アメリカのビジネスシーンを知るという意味で、とても参考になる映画です。(海外のテレビドラマであれば、ビジネスを題材にしたものもよく作られるようですが、映画となると中々、見つからないのが残念です。)
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エゴイスト

2007.06.25(23:57)
原題 THE MAN FROM ELYSIAN FIELDS
2001年 アメリカ
監督 ジョージ・ヒッケンルーパー
出演 アンディ・ガルシア ミック・ジャガー

この映画はたまたまツタヤで借りてきて、結構楽しめた映画でした。
売れない作家が、ホストになるという話なのですが、生活苦にあえぎ、妻子を養わなければならない身で、主人公の作家はあくまで「弁当工場」や「餅工場」などで働かないという姿勢に、ちょっと疑問を抱きました。

売れない作家が職探しをして、どこにも就職口がなく、最終的にホストに行き着くということなのですが、そのあたりのリアリティーがいまいち判然としないのです。

ただ、作家役のアンディー・ガルシアの演技はなかなかのもので、ちょっと影のある役ということでピッタリであったと思う。

ホストクラブのオーナー役に、ミック・ジャガーが出ていたのですが、映画を観ていて、「あれ、この人はミック・ジャガーではないのであろうか?」と思ったら、やっぱりミック・ジャガーでした。

ミック・ジャガーが肩幅がやたらと狭いのがちょっと気になりました。

そんなにものすごく面白い映画というわけでは決してありません。
だけれども、映画のテンポはまあまあよいので、ポテトチップでも食べながら、何もすることがない晩にぼんやりと観るには最高の映画だろうと思います。

同じようにホストを扱った映画では、リチャード・ギアが出演していた『アメリカン・ジゴロ』の方が秀作だと思いました。


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