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俺たちの旅
2007.06.26(23:36)
この俺たちの旅をみたときの衝撃は、いまでも忘れることが出来ません。ストーリーは、三人の若者の青春を描いたドラマということになりますが、この映画は70年代の日本という風景がよく描かれています。
私は70年代の終わりごろに生まれた関係で、当然、そういった当時の風景というものを知ることはなかったわけですが、このドラマの舞台となっている当時の吉祥寺近辺のようすや、学生たちの日常生活の過ごし方というものをみるにつけ、これは非常に現代と較べると牧歌的であるという感想とともに、やはり、青春というドラマを描いた場合は、人間としての普遍性というものを感じずにはいられなかったのです。
ただ、俺たちの旅をみると、その特徴として、「熱さ」があると思います。暑苦しいほどの熱さというものや、友情というものを第一において行動する中村雅俊扮する主人公のカースケなどをみると、「70年代というものは、ああ、素晴らしい時代だったのだな」と思います。
貧乏であったかもしれませんが、その貧乏というものがあまり嫌な感じとしてとらえられていなくて、「学生は貧乏である」ということを当然のように描いていて、そのドラマに登場する3人の男たちのアパートにおける生活というものが、非常にディテール細かく描かれている点で、そういったところからも作り手の愛情というものを感じました。
貧乏であるかどうかというのは、ある面で主観的な話であるということにこの俺たちの旅をみていると気づかされます。「貧乏が単にみじめである」という風な描き方であれば、あくまでみじめなままであるけれども、このドラマの場合ですと、貧乏を前提として、それを上回る魂の問題を扱っているような気がして、とてもみていてスッキリとした気分になれるのです。
しかしながら、当然のことながら、学生を取り上げているわけですから、そのなかには就職活動に対する悩みだとか、企業に就職するとはどういうことかとかそういった悩みも出てくるわけです。
学生運動などが盛んだった時期ですから、その面からも当時の人はこのドラマを通して自分自身の生き方について考えるというようなこともあったのでしょう。
この俺たちの旅の場合は、社会に対して反抗する若者というものをやはり描いているものですから、いや、別の言い方をすれば、この社会に対して「もがく若者」といったほうがいいかもしれません。
そのわけの分からない若者のもがきというものを描くというのは、そして、そういったドラマがきちんと放映されていた時代というのは、非常に日本という国が健全であったのだなあという気がしています。
ドラマというのは、何かのメッセージがこめられているはずで、そういったメッセージがあまり感じられないドラマというのは魅力がないわけです。
俺たちの旅は作り手のかなりの主張と、若者のやるせなさ、そして、若いことはいいことだという熱さ、情熱、煮えたぎるパトス、そういったものを感じるので、本当にいいドラマであると思います。
ふぞろいの林檎たち
2007.06.26(23:32)
このドラマは実に泣けました。あまり、私は映画やドラマをみて「泣く」ということはありませんが、人を泣かせるだけのパワーをもったドラマであると思います。
ストーリーは、3人の落ちこぼれの大学生たちが主人公なわけですが、この3人と二人の女性を中心にしてドラマが展開していきます。
日本の「学歴社会」というものを正面から取り上げており、それに対する批判というものを徹底的に行なったドラマというものは、他にみたことがありません。人間の嫌らしさ、残酷さというものを深くあばいたという点で、このドラマの原作をつくった山田太一という人物の力量に驚くばかりでした。
このふぞろいの林檎たちの中で、岩田健一(時任三郎)という三流の大学に通う大学生が、郷里の両親に一流企業の内定をとったということで公衆電話から電話するというシーンがあります。
親はその息子からの報告を非常に喜ぶわけですが、岩田健一は電話をし終わったあとに、「そんなに一流がいいか〜!!」と大声を上げながら公衆電話の受話器をたたきつけて、暗闇の中をダッシュするというシーンがあるんです。
熱いですね。熱いの一言です。
ですが、この熱さというものになんともいえない魅力を感じたものでした。
山田太一という人は、社会の底辺に生きる人々というのに対する暖かな視線というものをもっていて、そういうのはすごくよく伝わってくるものです。このドラマの中で主人公たちを含めた、彼らを取り巻く人物たちというのは、誰しも心に何らかの傷を負っていて、また厄介なルサンチマンを抱えていたりと、どちらかといえば幸福ではない人たちです。
こうした人々をリアリズムをもって描き出し、また、社会的な批判を込めたメッセージを伝えていくという作業は、ドラマにとって非常に重要なことなのではないかと思いました。現代は、このふぞろいの林檎たちが流行した80年代とは、かなり社会の世相が異なっており、人々の意識の状態というものも随分、変化したという気がします。
もちろん、今の世の中においてはあまり、「大学がどうだ」とかそんな話は人々にとって重要ではないわけです。
しかしながら、人間とは何か?とか、幸福であるとはどういうことか?という問題について考える際の、非常にすぐれたドラマである考えています。時代は変わっても、このドラマが対象にしているのは人間そのものであるからです。
また、ふぞろいの林檎たちというのは、人々が普段、思っていても口にしないようなことをあえてテーマにしたという点で、爆発的な人気を得たのでしょう。そのことによって、共感を得たというのは、非常に素晴らしいことだと思います。真に、文学的なドラマであり、また、若い人の心を揺さぶり、いてもたってもいられない気分にさせてくれるドラマです。
アリよさらば
2007.06.26(23:29)
このドラマは、高校生のときにみて、やたらと一時期はまったドラマです。一言でいって、素晴らしいドラマですね。このドラマくらい90年代の日本というものを描いたドラマを私は他に知りません。
ちょうど、再放送でみたんですが、よく夕方にやっている再放送です。TBSというのは、実にいいドラマをつくりますね。
このアリよさらばというドラマをみていると、「何でこうも、問題が起きるのかなあ」と日本の学校の教育制度に問題があるとはいえ、それにもかかわらず、こんなに日常的に問題が沸き起こってくる学校というのは、あまりないのではないかと思ってしまいました。
ちょうど、このころ流行っていたアメリカのテレビドラマシリーズ、「ビバリーヒルズ高校白書」と対比させて考えると、日本の高校生を描く場合は、やはり、こういったアリよさらば的な、ちょっと湿っぽいドラマになってしまうというのはいたし方ないことなのかもしれません。
というのは、文化的にみて、日本という国はどちらかといえばかなりストイックな国民性をもっているものであるということを、このアリよさらばをみることでよく知ることが出来ます。
ビバリーヒルズ高校白書の方は、深刻な問題を扱っている部分もあるにもかかわらず、どこか楽天的な、幸福な生というものを歌い上げる、ある意味、実存主義的な人間観というものがその作品のベースになっております。
一方で、このアリよさらばの場合は、あまりにも悲壮で、どうしようもなく、涙なしにはみられないといった、別の言い方をすれば、浪花節というもの、あるいは日本的な人情というものが根底にありますので、そうした側面が、このアリよさらばにストイックな面があると感じさせるのかもしれません。
12回という短い間で終わってしまったドラマですが、短いからこそ凝縮され、また、続編が作られないからこそいいのかもしれません。



