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ザ・エージェント
2007.07.10(02:05)
原題 Jerry Maguire1996年 アメリカ
製作 ジェームズ・L・ブルックス、リチャード・ササキ、ローレンス・マーク、キャメロン・クロウ
監督 キャメロン・クロウ
撮影 ヤヌス・カミンスキー
主演 トム・クルーズ、キューバ・グッディング・ジュニア、レニー・ゼルウィガー、ケリー・プレストン、ジェイ・モーア
この映画は、アメリカのスポーツ・エージェントの世界を余すところなく描いた名作であると思います。
ストーリーは、やり手のスポーツ・エージェントであるジェリー(トム・クルーズ)が、スポーツ・エージェント会社SMIを解雇されるところから始まります。
とてつもない大金が動くスポーツの世界において、冷徹な資本の原理というものに対して、すなわち、ビジネスというものにハートを持ち込もうとして奮闘するジェリーのひたむきな姿が描かれます。
この映画を観ていて、ジェリーが会社を解雇されるシーンであるとか、オフィスを周囲の社員が黙って見守る中を去っていくシーンなどが、何かこう、日本の職場とアメリカの職場で共通点がちょっとあるかなあと思いながら観ていました。
特に、ジェリーが職場を去っていくシーンで、ジェリーは社員の前で「大演説」をふるうわけですけれども、その演説が終わって、ジェリーが姿を消した途端に、あたかも何事もなかったかのように人々がまた働き出すというのは、これは当たり前のことではありますけれども、職場というのはどこも似たようなものであるという感じがしたのです。
この映画の場合、「解雇」という窮地に主人公が追い詰められて、言い換えれば、主人公は最初に大きな挫折を経験するわけですが、その挫折を映画の後半部分に向けて乗り越えていくという筋書きは、映画『ハスラー』に共通するものがあると思いました。
『ハスラー』の場合も、主人公はビリヤードの名人であって、ミネソタ・ファッツに勝負を挑んで負けるところから映画が始まって、ミネソタ・ファッツを倒すというところを目指して物語が進行していくわけですが。
『ザ・エージェント』の場合も、最初、ジェリーはヒーローであって、やり手のビジネスマンだったわけですが、解雇という憂き目をみるわけです。それまで付き合っていた恋人にも振られ、新しく出来た恋人ドロシー(レニー・ゼルウィガー)に対しても、結婚生活ということで頭を悩ませます。
観終わったあとに、さわやかな感動が残る映画です。それと同時に、常に大きな緊張を強いられるアメリカのビジネスマンの姿というものを垣間見ることが出来て、興味深いものがありました。
この映画は、アメリカのむき出しの資本主義であるとか、競争社会というものに疑問を投げかけつつも、それを決して否定はしていないのです。厳しい現実をなるべくありのままに受け入れつつ、それでもビジネスにはハートが必要だというメッセージが伝わってくるような気がしました。
2007年10月24日発売ザ・エージェント デラックス・コレクターズ・エディション
エリン・ブロコビッチ
2007.06.29(16:54)
原題 Erin Brockovich2000年 アメリカ
製作 ダニー・デヴィート、マイケル・シャンバーグ、ステイシー・シェール
脚本 スザンナ・グラント
監督 スティーヴン・ソダーバーグ
撮影 エド・ラッハマン
音楽 トーマス・ニューマン
主演 ジュリア・ロバーツ、アルバート・フィニー、アーロン・エッカート
巨大企業を相手に集団訴訟を行なった実際の女性を描いたストーリーで、この映画の主人公の女性の役をジュリア・ロバーツがやっています。
実に、爽快なストーリーであり、また、現代の企業社会というものを考える上で非常に重要な作品であると考えます。
企業が垂れ流した公害によって無数の人々が病気で苦しみ、それに対するレジスタンスというものを、一人の女性が立ち上がることによって、また、裁判という合法的な手段によって成し遂げた素晴らしい物語であると思います。
主人公のエリンという女性が、勝気で向こう見ずで、そして、魅力的であったということ、そういった描き方も、作品を面白くする一つの要因になっています。
また、エリンの恋人役であった、隣に引っ越してきた男の「とぼけブリ」というか、その競争社会から距離を置いた男の生き様というのも、ひっそりとではありますが、エリンの性格というものを際立たせる上で重要な点であると思います。
その男というのは、バイクに乗った中年のヒッピーであって、この映画で問題とされた巨大企業というものと正反対のような存在になっています。このヒッピーの男によって、この映画のかなりきつい雰囲気というのが薄められているのです。つまり、いいバランスを保っているということです。
この手の、反骨精神バリバリの作品を作った場合、特に左翼的な思想というものを前面に押し出した場合は、教条主義的なものに陥るか、イデオロギーがむき出しになった、とてもエンターテインメントとして楽しめるものではないものになりがちです。
でも、このエリン・ブロコビッチは、エンターテインメント性を堅持しつつ、企業批判を行なった映画であるという点で、特にすぐれた映画だと私は思います。
巨大企業の悪というものが、現代はあまり批判されることもなく、企業の存在そのものもほとんど、すでに身近にあるものとして、当たり前のものとしてとらえられがちです。
だからこそ、問題意識を持つことは重要なのですが、世の中全体が問題意識を持たないような風潮で溢れかえっており、そうした風潮が保守の動きというものを強めています。
そうした現状において、このエリン・ブロコビッチのような映画を観ることは爽快な体験であり、弱者の視点、また、支配される側の視点からこういった映画が作成されたという事実において、まだ、この世の中も捨てたもんじゃないと私は感じました。
俺たちは天使じゃない
2007.06.26(09:43)
原題 We're No Angels1989年 アメリカ
製作 アート・リンソン
脚本 デイヴィッド・マメット
監督 ニール・ジョーダン
撮影 フィリップ・ルスロ
主演 ロバート・デ・ニーロ、ショーン・ペン、デミ・ムーア
この映画は一種の脱獄劇ではありますが、ほかの脱獄劇と異なる点は、この映画の場合ですと、いきなり脱獄が成功するという点です。舞台はアメリカであり、カナダ国境付近の街で物語は始まります。
ロバート・デニーロと、ショーン・ペンが脱獄囚なのでありますが、二人とも刑務所を脱獄したあとに、国境付近の街で脱獄囚ではなくてその街に来るはずだった神父と間違われます。そこから二人が神父のフリをしつつ物語が進行するのです。
若い頃のデミ・ムーアも登場し、「ああ、デミ・ムーアはこんなにも若かったのか!」というわけのわからない驚きとともにこの映画を観るわけです。ショーン・ペンは、実にいい演技をしてますね。「人のよさそうな」、気のいいチンピラ役を好演しています。
この映画の素晴らしいところは、男二人の友情というものをうまく脱獄劇というものとからめたという点にあるでしょうね。本来、犯罪者であるはずの男たちなんですが、神父に間違えられて行くうちに、だんだんと信心深くなっていく過程というものがうまく描かれていて、それとともに、人間に対する信頼だとか愛情だとかいったものを獲得していくんですね。
この映画は確か、中学生の頃に近所のレンタル・ビデオショップで借りてきて思わず引き込まれてみたのを覚えています。あの頃はやたらめったらと映画ばかり観て過ごしていたような気がします。映画少年というほどではありませんでしたが、それでも、映画という物語の世界にやたらと没入していたという点では、あまり幸福な少年時代だったのだろうかという気がしています。
ただ、ジム・キャリーの出演していた「ケーブル・ガイ」という映画は、あれもやたらと映画やドラマばかり観ていた少年が、現実と空想の世界の区別がつかなくなるというお話でしたが、映画は極端であるとはいえ、ちょっと怖い気がしましたね。映画ファンの一人としては、ああいった映画はとても面白いけれども、何かこう、肉体の活動を離れた想像の世界の危険性といったものを、あの手の映画は示唆しているのだと思います。
何であれ、映画そのものから教訓を学ぶというところまで行ってしまうと、それはそれで問題だと思いますね。きっと、物事の教訓というものは実際の経験そのものからしか本来は学べないはずであるにもかかわらず、映画を観て何かを学んだような気になってしまいます。
しかしながら、本来の映画の楽しみというのは、教訓を得るとかそういうことではなくて、おそらく「ただ、楽しむ」、それにあるのだと思いますね。いや、きっとそうに違いありません。僕自身は本を読むときでさえ、あまりしかめっ面をして「書を読む」というようなことはあまりなく、すべて「楽しむ」ということに重きを置いているものですから、やっぱり、映画というものに関しても、そうであってほしいというところです。
アバウト・ア・ボーイ
2007.06.26(08:56)
原題 About a Boy2002年 アメリカ
製作 ジェーン・ローゼンタール、ロバート・デ・ニーロ、ブラッド・エプスタイン、ティム・ビーヴァン、エリック・フェルナー
脚本 ピーター・ヘッジス、クレス・ウェイツ、ポール・ウェイツ
監督 ポール・ウェイツ クレス・ウェイツ
撮影 レミー・アデファラシン
音楽 デーモン・ゴフ
出演 ヒュー・グラント、トニ・コレット、ニコラス・ホルト、ヴィクトリア・スマーフィット
文句なしにオススメできる映画。
この映画の主人公の役には、ヒュー・グラントしかないだろうと思いました。
主人公は、ロンドンでミュージシャンの父親から受け継いだ遺産で生活をしているという男で、自由気ままな独身生活を送っていましたが、シングルマザーの子供とあるとき知り合って、それから人間の絆とか愛とかそういったものに気がついていくという話です。
「不労所得で生活をする男」という映画のテーマと、ロンドンの生活が重なり合って、なんていうか、働くこととか、人生とか、男女関係、結婚の意味とか、そういったものを映画を観ているうちに考えさせられます。
この映画は、一方で、イギリスにおける学校内でのイジメ問題とか、そういった重いテーマも扱っているのだけれど、そしてそれは結構、悲惨だったりするのですが、さらりとした明るい印象を映画全体に与えているのは、ポール&クリス・ウェイツ兄弟の力量というべきでしょう。
人生が悲惨であればあるほど、ユーモアが必要で、ユーモアがあるからこそ人は生きて行けるということを気づかせてくれる映画だと思います。
また、現代のロンドンの風景が美しく映し出されているので、ロンドン好きの人、イギリスびいきの人も楽しめる映画でしょう。
外国の映画というのは、ストーリーを楽しむことはもちろんのことだけれど、もう一つは、自分が行ったことのない場所や、風景というものを映像を通して行った気にさせてくれるという効用があるから、『アバウト・ア・ボーイ』を観て、ロンドンにちょっと行った気になるというのもいいと思います。
明日に向かって撃て
2007.06.26(08:48)
原題 Butch Cassidy and The Sundance Kid1969年 アメリカ
製作 ジョン・フォアマン
脚本 ウィリアム・ゴールドマン
監督 ジョージ・ロイ・ヒル
撮影 コンラッド・ホール
音楽 バート・バカラック
出演 ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード、キャサリン・ロス
この映画は中学生のときに観て、非常に大きな衝撃を受けました。
ポール・ニューマンとロバート・レッドフォードが出ている映画ですが、私は二人のことをそれまで知らずにいて、この映画を観て、一瞬にしてファンになりました。
アメリカの西部劇ですが、単純な勧善懲悪ものというわけではなく、銀行強盗というアンチヒーローを描いているドラマです。
それと、キャサリーン・ロスとポール・ニューマン、ロバート・レッドフォードの三人による微妙な三角関係も描かれていて、哀愁に満ちた悲しみとともに、映画のクライマックスには非常に大きな感動を誘い込みます。
ポール・ニューマンはどちらかというと、「食えない感じの奴」を演じており、また、「一癖も二癖もある人物」を熱演しています。ポール・ニューマンは、ほかの映画でも(たとえば「暴力脱獄」)一癖ある人物を演じていて、やっぱり、そういう役柄が似合う人物なのかなあという風にも思います。
この映画はまた、サウンドトラックがとてもすぐれていて、「雨にぬれても」は、実に映画とマッチした、大変、素晴らしい音楽だと思いました。アメリカという国、また、西部の田舎町に郷愁の思いをはせるのにぴったりの映画ですね。
僕はアメリカにはニューヨークにしか行ったことがなくて、「明日に向かって撃て」で描かれているようなアメリカ、つまり、大平原が広がっていたり、果てしない荒野が続いているというような光景はいまだかつて見たことがありません。
いつか、アメリカをひたすら車でドライブするような、そんな旅行が出来たらなあと思います。(村上春樹さんのエッセイで、アメリカをドライブする話が出てきましたが、どこまでも続く同じような景色に辟易したとかで、、、実際はどうなんでしょうね。アメリカの広大さに触れるという意味では、アメリカを車でドライブするというのはとても意義のあることだと思うんですが。)




