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ムーンリット・ナイト
2007.07.21(14:47)
原題 On A Moonlit Night In una notte di chiaro di luna1989年 イタリア、フランス
製作 フルヴィオ・ルチザーノ、タラク・ベン・アマール
脚本 リナ・ウェルトミューラー
監督 リナ・ウェルトミューラー
撮影 カルロ・タファーニ
音楽 グレコ・ダンジオ、アヴィヨン・トラヴェル
主演 ルトガー・ハウアー、ナスターシャ・キンスキー、ピーター・オトゥール、フェイ・ダナウェイ、ドミニク・サンダ
この映画は、素晴らしい恋愛映画だと思います。
ストーリーは、自分がエイズ感染者だと知ったジャーナリストのジョン・ノット(ルトガー・ハウアー)と、その恋人ジョエル(ナスターシャ・キンスキー)の、愛と葛藤を描いた作品です。
この映画を観て、最後のラストシーンで思わず涙がボロボロとこぼれてきました。あまり、映画を観て涙を流すことはないものですが(かつて、『ホテル・ニューハンプシャー』という映画を観て泣いたことがあるだけです)、この壮絶な愛の悲劇といいますか、一人の人間の社会に対する反抗精神と、莫大なるこの映画の恋人たちの愛の大きさというものに感動したのです。
病と恋愛というのは、よく恋愛映画だとか、小説のプロットに使われるもので、ともすれば、安っぽいメロドラマ的な、どうでもいい陳腐な作品になってしまうこともあるものです。
しかし、この『ムーンリット・ナイト』という映画の場合ですと、映画の作り手の優しさ、人間の業というものを全面的に肯定する姿勢というものが、強く伝わってきて、非常に強く映画に共感することが出来ました。
このような社会派の作品、ある種のジャーナリスティックな視点をもった作品というのは、教条主義的なドグマにとらわれたり、あるいは、皮相な道徳的作品になってしまうこともあると思います。
『ムーンリット・ナイト』が大きな感動をもった作品になりえたのは、社会ではなくて、人間というものを追求していったからであって、社会というものの前に、まず、愛というものを掘り下げていったからであると思います。
また、この作品に色彩と重みを与えているのは、ナスターシャ・キンスキーという偉大な女優でありまして、この女優は類まれなる美貌の持ち主であるということだけでなくて、何か、尋常ではない存在感というものをもっている女優なのです。『パリ、テキサス』のあの有名なラストシーンもそうですが、クライマックスという映画の一場面に、絶大なる力を発揮する女優であると私は思いました。
演技がうまいだとか下手だとか、そういうレベルの話ではなくて、役者の人間としての存在感というものがどれほど大切なことであるか?ということが、ナスターシャ・キンスキーをみているとよくわかります。
素晴らしい作品です。途中、あまりの切なさに、映画を観ているのもつらくなるような、苦しい感情に襲われることもありますが、この映画を観終わったときに、大いなる感動の瞬間が待っていることでしょう。
サボテン・ブラザーズ
2007.07.21(14:46)
原題 Three Amigos!1986年 アメリカ
製作 ローン・マイケルズ、ジョージ・フォルシー・ジュニア
脚本 スティーヴ・マーティン、ローン・マイケルズ、ランディ・ニューマン
監督 ジョン・ランディス
撮影 ロナルド・W・ブラウン
音楽 エルマー・バーンスタイン
主演 スティーヴ・マーティン、チェヴィ・チェイス、マーティン・ショート、アルフォンソ・アラウ、トニー・プラナ
この映画は、以前から観よう観ようと思っていましたが、「あまり面白くない映画」という風評を耳にしていたので、今まで観ずにいた映画です。
ですが、思ったよりも面白い映画だったというのが最初の感想でした。
舞台は、メキシコの貧しい村であり、その村を襲う悪人たちを、“サボテン・ブラザース”に扮している3人の俳優、ダスティ・・ボトムス(チェヴィ・チェイス)、ラッキー・デイ(スティーヴ・マーティン)、ネッド・ネダーランダー(マーティン・ショート)がやっつけるという話です。
あまり大笑いをすることもないですけれども、映画の所々で「クスッ」とした笑いを誘う作品です。
スティーヴ・マーティンのそのほかの映画、例えば、『天国から落ちた男』や、『ロンリー・ガイ』などの名作と較べると、かなり笑いのパンチ力という点で見劣りがしますけれども、ナンセンス・コメディーというものを学ぶ点ではこの映画は重要であると思います。
残念な点は、この映画の場合、コメディアンがスティーヴ・マーティンのほかに二人出てくるというところでして、スティーヴ・マーティンのあくの強さだとか、バイタリティーというものがかなり薄まってしまったというところなのです。
後は、時代設定が1916年ということになっていますが、この映画を観ていてあまりそういった古い時代だということが、映像を通して伝わってこないという点が残念です。
つまり、映像にリアリティーがないといいましょうか。コメディーだからそういったディテイルは無視していいということではなくて、コメディー映画だからこそ、その辺りのリアリティーを大切にしてほしかったという気持ちです。
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ハッピー・フライト
2007.07.20(04:59)
原題 View from the Top2003年 アメリカ
製作 マシュー・ベアー、ボビー・コーエン、ブラッド・グレイ
脚本 エリック・ウォルド
監督 ブルーノ・バレト
音楽 セオドア・シャビロ
主演 グウィネス・パルトロウ、クリスティナ・アップルゲイト、マーク・ラファロ、キャンディス・バーゲン、マイク・マイヤーズ
この映画は、心に残る傑作というほどではないですが、まあまあ心の温まるコメディー映画であると思います。
ストーリーは、田舎町で育ったドナ(グウィネス・パルトロウ)が、ある本をきっかけにしてスチュワーデスになることを決心し、国際線のスチュワーデスになって活躍するまでの話を描いた作品です。
グウィネス・パルトロウのファンはもちろんのこと、この映画で見逃せないのは、スチュワーデスの訓練教官の役をしていたマイク・マイヤーズの存在だと思います。
やはり、このマイク・マイヤーズというコメディアンは、異色の存在感というものを放っていて、オースティン・パワーズのあの一連のコメディーシリーズとはまた違った、人間味あふれる演技というものをしています。
作品全体に関して言うと、少しばかり陳腐であるという部分が否めないところがあって、テーマとしては、女性にとって「仕事は恋愛よりも重要であるか?」ということになるのでありましょうが、その辺りの掘り下げというものがあまりなされておらず、あまりに単純な物語の結末というものに、大きな消化不良感を残しました。
ただ、この映画をDVDで観ると、特典映像として『スチュワーデスの歴史』というものが入っていて、元スチュワーデスの人たちのインタビューであるとか、昔の写真などを紹介するコーナーがあって、それを観ると、薄ぼんやりとではありますが、スチュワーデスという職業に対する見識が深まるといいましょうか。
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イフ・オンリー
2007.07.20(04:57)
原題 Twice Upon a Yesterday1998年 イギリス、スペイン
製作 ホアン・ゴードン
脚本 ラファ・ルソ
監督 マリア・リポル
撮影 ハヴィエ・サルモネス
音楽 ルイス・メンド、ベルナルド・フスター
主演 リナ・ハーディー、ダクラス・ヘンシャル、ペネロペ・クルス、グスタヴォ・サルメロン
この映画はファンタジー色あふれる恋愛映画です。
ストーリーは、恋人との浮気がもとで別れることになった役者ヴィクター(ダグラス・ヘンシャル)が、ある偶然によって、過去に戻り、恋人のシルヴィア(リナ・ヒーディ)とやり直すという話です。
売れない役者であるヴィクターの役というのを、ダグラス・ヘンシャルが好演しています。
この映画で実にいいなあと思った点は、誰であれ何事につけても、「過去に戻ってやり直したい」と思ったことが一度はあると思うんですが、人間のそうしたどうしようもなく切ない感情というものを、作品に仕上げたところでした。
そして、改心した役者ヴィクターの恋心というものが、過去に戻っても恋人とのすれ違いからうまくいかないというところを、非常にうまく描いています。
つまるところ、男女間の愛情の強さの違いであるとか、交際相手を思いやって大事にすればするほど離れていってしまうといった、恋愛の逆説に焦点を当てて、徹底的な切なさでもって映画が作られている、そんな風に思ったのです。
また、この映画では、後半部分でペネロペ・クルスが出てきます。エキゾチックで不思議な魅力というものを発散しており、この映画に華をそえています。
映画の舞台は、はっきりとは明示されておりませんが、おそらくロンドンであり、現代のロンドンの都市の風景、すなわち、雑多な人種であふれた都市の猥雑さであるとか、演劇の本場であるロンドンの役者事情といったものが、映像を通してよく伝わってくるのも、この映画の魅力の一つです。
踊れトスカーナ!
2007.07.15(10:03)
原題 ll Ciclone1998年 イタリア
製作 ヴィットリオ・アンド・リタ・チェッキ・ゴーリ
脚本 レオナルド・ピエラッチョーニ、ジョヴァンニ・ヴェロネージ
監督 レオナルド・ピエラッチョーニ
撮影 ロベルト・フォルザ
音楽 クラウディオ・グイデッティ
主演 レオナルド・ピエラッチョーニ、ロレーナ・フォルテーゼ、バルバラ・エンリーキ、マッシモ・チェッケリーニ、セルジオ・フォカーニ
この映画は気分が落ち込んでいるときや、何となく憂鬱なときに、ほんのりとなごめるラブコメ映画であると思います。
映画の舞台はイタリアのトスカーナ地方であり、ひまわり畑が延々と続く田舎で暮らす、会計士の青年レバンテ(レオナルド・ピエラッチョーニ)が、彼の暮らす街にやってきたフラメンコ・ダンサーの女性に恋をするという話です。
ヒロインのフラメンコ・ダンサーは、ロレーナ・フォルテーザという女優であり、この女優がみずみずしい、清潔感のある色香を発散しながら、実に存在感のある演技をしています。
観終わったあとに爽やかな感動を残すと共に、ヨーロッパでの田舎暮らしというものを、気持ちよく想像させてくれる映画です。
基本的に、「いい人」しか出てこない映画ではありますけれども、時にはそういった日常の幸福やら、田舎暮らしの優雅さというものに憧れる瞬間というものはあるものです。
この映画は一応、フラメンコ・ダンサーが出てはきますけれども、それが本筋のテーマではないような気がします。それよりも、平凡な生活をしていたイタリアの田舎町の人々が、突然やってきたフラメンコ・ダンサーたちの美貌とエネルギーというものに翻弄されながら、そこに暖かい人的交流が生まれるといったような、そういった無難な話なのです。
無難な話であるがゆえに、映画を鑑賞している最中の退屈さは免れないですけれども、ストーリーがわかりやすいので、寝転びながらぼんやり画面を観る分には、おそらく何も問題は生じない作品であると思います。
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マージョリーの告白
2007.07.15(02:28)
原題 Sibling Rivalry1990年 アメリカ
製作 デイヴィッド・レスター、ドン・ミラー、リズ・グロッツアー
脚本 マーサ・ゴールドハーシュ
監督 カール・ライナー
撮影 レイナルド・ヴィラロボス
音楽 ジャック・エリオット
主演 カースティ・アレイ、ビル・プルマン、キャリー・フィッシャー、ジャミー・ガーツ、スコット・バクラ
この映画はちょっと異色のラブ・コメディーです。
ストーリーは、平凡な生活を送っていた主婦マージョリー(カースティ・アレイ)が、たった一度の不倫をきっかけとして、新しい人生に目覚めるという話です。
マージョリーは医師のハリー(スコット・バクラ)とはたからみたら、おしどり夫婦だったわけですが、夫婦間に夜の営みが欠落していることと、夫の一族からないがしろにされていることに対して、心の中で大いなるストレスと不満を抱えていたわけです。
不倫相手は、夫の兄であったのですが、不倫の最中に、ベッドの上でマージョリーの義理の兄はショック死をしてしまいます。
そこから、物語はある種のサスペンス的展開をみせていくわけですが。
まず、この映画は着想が非常にユニークであるところが非常に評価できる点です。
それから、カール・ライナーという監督が作っただけあって、随所に辛口なブラックユーモアを交えたきわどい笑いというものが散りばめられています。カールライナー監督の『天国から落ちた男』でもそうでしたが、この監督が作ると、どこか悲しいテーマをもったコメディーであっても、何かしら人の心に訴える暖かい人間に対する視線というものが感じられるわけです。
また、この『マージョリーの告白』では、ある意味、“日本的”ともいうべき、夫婦間の、また、嫁と姑あるいは、嫁とその一族との軋轢(あつれき)のようなものを細かく描いていて、こういったテーマというものがかなり世界的にみても普遍的なものだと思いました。
すなわち、これは、「意思が弱くて、あるいは性格がのんびりしていて、他人との関係性において、自己主張が出来ずに人間関係に大きなストレスを感じたり、悩んだりする」という人間の心理の問題を描いており、この映画は不倫というテーマを切り口にしているわけですけれども、単にそのテーマにとどまることなく、心に響くものが多い映画になっています。
グリーン・カード
2007.07.14(11:47)
原題 Green Card1990年 アメリカ
製作 ピーター・ウェアー
脚本 ピーター・ウェアー
監督 ピーター・ウェアー
撮影 ジェフリー・シンプソン
音楽 ハンス・ジマー
主演 ジェラール・ドパルデュー、アンディ・マクドウェル、ベベ・ニューワース
この映画はしっとりとした恋愛映画だと思います。
ストーリーは、アメリカの在留資格を得るためだけに結婚をしたフランス人の男、ジョージ・フォレー(ジェラール・ドパルデュー)が、偽装結婚の相手、ブロンティー・パリッシュ(アンディ・マクドウェル)といつの間にか恋に落ちていくという話です。
画面が美しく、ニューヨークの街並みもうまく描かれています。ペントハウスにおいて、この映画の女性、ブロンティーは植物を育てているわけですが、彼女の周囲の人々や、そのライフスタイルというのは、ともすると多分にスノッブ的であるという印象を受けるわけです。
しかしながら、それがあまり嫌味な感じがしないのは、アンディ・マクドウェルという女優の一つの持ち味であり、魅力であるのでしょう。
一方で、ジェラール・ドパルデューも、この映画で彼本来の無骨な、野生の魅力というものを発揮していて、魂を持った役者であることを再確認させられます。
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恋するレストラン
2007.07.13(02:12)
原題 HET SCHNITZELPARADIJS/SCHNITZEL PARADISE2005年 オランダ
脚本 マルコ・ヴァン・ゲフィン、ミモウン・オエイシャ
監督 マルティン・コールホーベン
撮影 グイド・ファン・ゲネップ
主演 ムニール・ヴァレンタイン、ブラハ・ファン・ドゥーシュバーグ、ミモウン・オエイシャ
あまりおすすめ出来ないラブコメ映画です。
ストーリーは、大学進学を目前に控えた青年ノルディップ(ムニール・ヴァレンタイン)が、父の決めた医学部進学に反抗し、レストランの厨房で働き始めるという話です。
レストランでの労働の途中で、ウェイトレスのオランダ美人、アグネス(ブラハ・ファン・ドゥーシュバーグ)と知り合って恋に落ちるわけですが、正直言って、あまりパンチ力の感じられない映画だったので残念でした。
おそらく、映画の作り手は、「社会のことを何も知らない青年が、労働を通じて社会を知り恋を知り、大人になっていく」という映画を作りたかったのでしょうが、私はこの映画を全部見終わるまで、最後まで主人公の青年、ノルディップという男に親近感を覚えることはありませんでした。
一方で、この映画の脇役には、肥って汚らしい厨房のリーダーであるとか、いつも殺気立って肉を切っている男であるとか、色々と策をこらして、魅力的な脇役というものを揃えようとしているその努力はわかったのですけれども、それでもやはり、人間というものに対する洞察があまり感じられない、非常に薄っぺらいドラマになっています。
この映画では、現代オランダが抱える移民の事情なども取り上げているので、その辺りをどのように深く掘り下げていくのか?という部分も期待してみたのですが、あまり、たいした社会批評にはなっていません。
ただ、一つだけこの映画のすぐれている点をあげるとすれば、それは例えば、オープニングなどで、映像がスタイリッシュであったということです。画面の色使いが大変素晴らしいと思いました。アート風で趣味がいい印象です。
ムニール・ヴァレンタイン/恋するレストラン
ナインハーフ2
2007.07.13(01:43)
原題 Another Nine & A Half Weeks1997 アメリカ
製作 スタファン・アーレンベルグ、ヤニック・ベルナール
脚本 マイケル・デイヴィス
監督 アン・ゴールソウ
撮影 ロバート・アラズラキ
音楽 フランシス・ヘインズ、スティーヴン・パーソンズ
主演 ミッキー・ローク、アンジー・エヴァーハート、アガサ・デ・ラ・フォンテーヌ
映画、『ナインハーフ』の続編です。
ストーリーは、恋人に去られたジョン(ミッキー・ローク)がパリに行って、デザイナーのレア(アンジー・エヴァーハート)と出会い、危険な恋の手ほどきをするという話です。
この『ナインハーフ2』でのヒロイン役は、レアでありまして、このレアは前作のエリザベスとは全く対照的な、ある種、肉感的な女性ということになっております。
前作では、ジョンがエリザベスを交際を通じながらだんだんと“調教”していくという話でしたけれども、続編においては、もうすでに性的に奔放であったレアを、ジョンがより奔放にしていくという点で、その辺りが異なる点かと思います。
しかしながら、この『ナインハーフ2』は前作の焼き直しであると思われる点がどうしても多く、ミッキー・ロークのファンであれば、十分に見ごたえはありますけれども、一般的な恋愛映画としての完成度からするとやや不満に思えた部分が多くありました。
また、前作においては、主人公のジョンの生活というのが多少なりとも垣間見れたものでした。ジョンは、何やらウォール・ストリートで株屋をやっているようだ、くらいのことは見えてきました。株屋をやることの傍らに、恋愛遊戯にふけっているという設定が、きちんと前作では見えていたのです。
『ナインハーフ2』の場合、ジョンの生活というものがほとんど見えてこなかったというのがちょっと腑に落ちなかった点なのです。
もちろん、ヒマをもてあます有閑階級の苦悩というものであれば、それはそれでいいのですが、「ジョンが仕事をしてなさそうだ」というところがわかってしまう時点で、物語に深く入り込みづらかったという印象なのです。
好きと言えなくて
2007.07.10(10:16)
原題 The Truth about Cats & Dogs1996年 アメリカ
製作 カリ=エスタ・アルバート
脚本 オードリー・ウェルス
監督 マイケル・レーマン
撮影 ロバート・ブリンクマン
音楽 ハワード・ショア
主演 ユマ・サーマン、ジャニーヌ・ギャロファロ、ベン・チャップリン、ジェイミー・フォックス
この作品は、異性を愛するのは容姿に惚れるからか、それとも内面に惚れるからか?というテーマを描いています。
ストーリーは、ラジオのDJをしていたアビー(ジャニーヌ・ギャロファロ)が、番組のリスナーのブライアン(ベン・チャップリン)と知り合うところから始まります。
アビーはブライアンと会う約束をするのですが、その約束をすっぽかしたあと、かわりにアパートの隣に住んでいた美人モデルのノエル(ユマ・サーマン)をアビー本人だといって、ブライアンをだますのです。
そんな感じで話は進んでいくわけですが、どうもこの映画には、容姿に自信が無くてそれにもかかわらず自分は賢いと思っている人間の、異臭を放つルサンチマンが強く感じられて、映画としてはまあまあ面白いですけれども、手放しで高い評価を与えることは出来ない映画だと思いました。
それとともに、この映画では、「美人だが頭が悪い」とされているモデルのノエルが、あまり救われない結末に終わってしまっています。
ブライアンが、最終的にアビーを選ぶのではなくて、美人モデルのノエルを選ぶのであれば、それはすぐれたアイロニーとして、もっと立派な作品になっていたに違いないと思われて非常に残念です。
もう一つ言えば、「容姿は悪いが、頭は賢い」とされているアビーが、果たして観客の共感を呼ぶような性質の人物に描かれているかどうかというのが、かなり疑問として残りました。
「自分は頭が良いから、身なりはどうでも構わない」という生活態度の人間が周囲にいたとして、そういう人物は、それが女性であれ、男性であれ、多くの人々の理解を得ることが出来るでしょうか。
アビーは、自分の人生を呪って、容姿の醜さを呪って、生きているわけですけれども、そこまでは一般的な不幸として共感できるわけです。
しかしながら、アビーのセリフやモノローグから、「この人物は開き直っていて、一向に反省しようとしない、疑いを持とうとしない」ということがひしひしと感じられて、それが嫌な頑固さに感じられて、「こんな人物がまわりにいたら不快であろうなあ」と思いました。
つまり、アビーは「自分は醜いけれども賢いからいいんだ!」と、そこで自己完結しているわけですから、そこには何の哲学も生まれなければ、人間としての徳といった問題ももう残されていないわけであります。
残っているのは、極度に肥大化した自意識と、迷惑な自己愛の問題だけであって、そういう人物に出会ってしまったブライアンという青年にあわれを感じました。
DVD 好きと言えなくて 【\1000キャンペーン】 (12/21 発売予定)
ザ・エージェント
2007.07.10(02:05)
原題 Jerry Maguire1996年 アメリカ
製作 ジェームズ・L・ブルックス、リチャード・ササキ、ローレンス・マーク、キャメロン・クロウ
監督 キャメロン・クロウ
撮影 ヤヌス・カミンスキー
主演 トム・クルーズ、キューバ・グッディング・ジュニア、レニー・ゼルウィガー、ケリー・プレストン、ジェイ・モーア
この映画は、アメリカのスポーツ・エージェントの世界を余すところなく描いた名作であると思います。
ストーリーは、やり手のスポーツ・エージェントであるジェリー(トム・クルーズ)が、スポーツ・エージェント会社SMIを解雇されるところから始まります。
とてつもない大金が動くスポーツの世界において、冷徹な資本の原理というものに対して、すなわち、ビジネスというものにハートを持ち込もうとして奮闘するジェリーのひたむきな姿が描かれます。
この映画を観ていて、ジェリーが会社を解雇されるシーンであるとか、オフィスを周囲の社員が黙って見守る中を去っていくシーンなどが、何かこう、日本の職場とアメリカの職場で共通点がちょっとあるかなあと思いながら観ていました。
特に、ジェリーが職場を去っていくシーンで、ジェリーは社員の前で「大演説」をふるうわけですけれども、その演説が終わって、ジェリーが姿を消した途端に、あたかも何事もなかったかのように人々がまた働き出すというのは、これは当たり前のことではありますけれども、職場というのはどこも似たようなものであるという感じがしたのです。
この映画の場合、「解雇」という窮地に主人公が追い詰められて、言い換えれば、主人公は最初に大きな挫折を経験するわけですが、その挫折を映画の後半部分に向けて乗り越えていくという筋書きは、映画『ハスラー』に共通するものがあると思いました。
『ハスラー』の場合も、主人公はビリヤードの名人であって、ミネソタ・ファッツに勝負を挑んで負けるところから映画が始まって、ミネソタ・ファッツを倒すというところを目指して物語が進行していくわけですが。
『ザ・エージェント』の場合も、最初、ジェリーはヒーローであって、やり手のビジネスマンだったわけですが、解雇という憂き目をみるわけです。それまで付き合っていた恋人にも振られ、新しく出来た恋人ドロシー(レニー・ゼルウィガー)に対しても、結婚生活ということで頭を悩ませます。
観終わったあとに、さわやかな感動が残る映画です。それと同時に、常に大きな緊張を強いられるアメリカのビジネスマンの姿というものを垣間見ることが出来て、興味深いものがありました。
この映画は、アメリカのむき出しの資本主義であるとか、競争社会というものに疑問を投げかけつつも、それを決して否定はしていないのです。厳しい現実をなるべくありのままに受け入れつつ、それでもビジネスにはハートが必要だというメッセージが伝わってくるような気がしました。
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オースティン・パワーズ
2007.07.09(05:53)
原題 Austin Powers:International Man of Mystery1997年 アメリカ
製作 スザンヌ・トッド、デミ・ムーア、ジェニファー・トッド、マイク・マイヤーズ
脚本 マイク・マイヤーズ
監督 ジェイ・ローチ
撮影 ピーター・デミング
音楽 ジョージ・S・クリントン
主演 マイク・マイヤーズ、エリザベス・ハーレイ、マイケル・ヨーク、ミミ・ロジャース、ロバート・ワグナー
この映画は、オースティン・パワーズの一連のシリーズの最初の作品です。
ストーリーは60年代のスパイ、オースティン・パワーズ(マイク・マイヤーズ)が悪の帝王ドクター・イーヴル(マイク・マイヤーズ)と戦うという話です。
マイク・マイヤーズが一人二役をこなして、実に怪しい演技をしているのが見所です。
しかしながら、この作品は個人的には第二弾の『オースティン・パワーズデラックス』の方がバカバカしさ、ナンセンス度の点で上回っているように思われました。
というのは、『オースティン・パワーズデラックス』の方は、悪役の顔ぶれというのがより洗練されていて、小人であるミニ・ミーや、巨体のファット・バスタードなどが登場し、表現がよりパンチのきいたものになっているように思われるからです。
『オースティン・パワーズ』のシリーズに共通しているのは、ナンセンスと下ネタであって、その笑いというものが下品であれば下品であるほど、そしてまた、物語の設定が荒唐無稽であればあるほど、日常の疲れを忘れさせてくれる、そんな作品であると思います。
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恋に落ちたら・・・
2007.07.08(23:29)
原題 Mad Dog and Glory1992年 アメリカ
製作 バーバラ・デフィーナ、マーティン・スコセッシ
脚本 リチャード・プライス
監督 ジョン・マクノートン
撮影 ロビー・ミュラー
音楽 エルマー・バーンスタイン
主演 ロバート・デ・ニーロ、ユマ・サーマン、ビル・マーレイ、デイヴィット・カルーソ、マイク・スター
この映画は淡々としていますが、恋愛映画の秀作であると思います。
ストーリーは、アメリカのシカゴ市警の刑事のウェイン・ドビー(ロバート・デ・ニーロ)が、マフィアのボスのマイロ(ビル・マーレー)の命を救ったのをきっかけに、マイロの情婦を一週間の間、「借りる」ということから、情婦とウェインとの間に愛が育まれていくという話です。
情婦のグローリーの役は、ユマ・サーマンがやっています。
この映画の特徴としては、役者たちの演技に注目するべきでしょう。まず、ロバート・デ・ニーロは、さえない男というものを演じていて、これが『ケープ・フィアー』や、『アンタッチャブル』と同じ男かと思うくらい、完璧に暗くさえない男になりきっています。
また、マフィアのボス役はビル・マーレーですが、ビル・マーレーは実に不気味な、存在感のある役者であると思いました。この映画を観ていると、ビル・マーレーはボス役として、「胆力がありそうだ」という印象を持ちました。
映画のストーリーに関して言うと、この「さえない男に、ある日突然、美女が舞い降りてくる」というのは、ある種、ラブコメ漫画にありそうな、男にとって都合のいいファンタジーであるという風に思えます。
ただ、よく出来ているなあと思ったのは、そのファンタジーだけに留まることなく、自分の人生に対して不満を持っていた、すなわち、自分が刑事であるという人生にさえ疑問を抱いていたウェインが、ひとりの女性との出会いを通じて、自分の人生を生き始めるという感動の話になっている点です。
人間が変わる瞬間というのは、誰か他人との出会いというものがとても重要な意味を持つものであると思いますが、この映画の場合ですと、異性との出会いにスポットを当てている点が非常に興味深いです。
恋に落ちたら…
ビフォア・サンセット
2007.07.08(07:50)
原題 Before Sunset2004年 アメリカ
製作 アン・ウォーカー・マクベイ
脚本 リチャード・リンクレイター、ジュリー・デルピー、イーサン・ホーク
監督 リチャード・リンクレイター
撮影 リー・ダニエル
主演 イーサン・ホーク、ジュリー・デルピー
この映画は、『恋人までの距離』という映画の続編です。
『恋人までの距離』という映画は、ヨーロッパの長距離列車の中で出会った男女(イーサン・ホークとジュリー・デルピー)が、ウィーンの街で一夜だけを過ごすというラブストーリーでした。
『ビフォア・サンセット』は、それから9年後、ふたりがパリの街で再会して人生や恋愛について語り合うという話です。
前作が徹底的にロマンティックで甘く切ないファンタジーだとすると、この『ビフォア・サンセット』という続編は、二人が社会人になって、それぞれ別の人生を歩んだあとの話ということで、切ない感じがより濃くなっています。
というのは、前作では二人が若かったということもあって、若さというものは実にエネルギーに満ち溢れているわけでして、それは恋愛にも通じるものなのであります。それとともに、二人は将来的にも未知数なわけでありまして、それだからこそ、「二人がどんな人生を送って、二人の愛はどうなるのか?」と興味をもったファンの方は多いと思います。
『ビフォア・サンセット』においては、二人の会話はお互いの「生活」を中心にしていて、脚本自体が非常によく練られていると思います。
最初に観たときは、ジェシー(イーサン・ホーク)が、9年後、作家になっていて、9年前のウィーンでの出来事というものを本に書いたという話が、ちょっとインチキ臭く思えたものでした。あまりに、ロマンティックが過ぎるだろうと思ったのです。
ところが、ゆっくりと二人の会話を追っていくと、空白の9年間という時間の経過の間で、二人は様々な経験をして、お互いに人生に「痛み」を抱えた存在であるということに気づかされるのです。
「若さが永遠ではない」ということは、これはもう誰の目にも明らかな真実ではありますが、この映画を観るとそのことがほろ苦い感情とともに、とてもよく伝わってきます。
この映画は興行的には、どうやらふるわなかったようです。
しかしながら、作り手や役者の人生に対する態度というものが実によく伝わってくる作品であり、かなりの名作であると思います。
イーサン・ホーク/ジュリー・デルピー/ビフォア・サンセット
ビジョン・クエスト 青春の賭け
2007.07.07(04:49)
原題 Crazy for You1985年 アメリカ
製作 ジョン・ピーター、ピーター・グーバー
脚本 ダリル・ポニクサン
監督 ハロルド・ベッカー
撮影 オーウェン・ロイズマン
主演 マシュー・モディン、リンダ・フィオレンティーノ、マイケル・ショーフリング、ロニー・コックス、ハロルド・シルヴェスター
この映画は、80年代の青春映画の隠れた名作であると思います。
ストーリーは、レスリングに熱中するアメリカの高校生、ラウデン・スウェイン(マシュー・モディン)が、減量をして全米高校チャンピオンのシュートに挑戦するという話です。
レスリングのトレーニングと併行しながら、カーラ(リンダ・フィオレンティーノ)との恋愛の話があったりしますが、この映画のテーマというのは、肉体に対する疑いなき賛美であります。
マシュー・モディンが、自意識のない、さわやかな青年というものを完璧に演じきっていて、この映画を観ると一切の精神的葛藤も、心の闇も何もありませんが、観終わったあとには爽やかな気持ちだけが残ります。
普通、「欠点のあまりないヒーロー」というものを描く場合には、そのヒーローに対して観ている観客に人間的な親しみの感情を持たせなければいけないと思います。
この映画でいうと、主人公のラウデンは背が高く、筋肉はムキムキとしていて、それとともに、レスリングは強いは、勉強は出来るは、性格は真っ直ぐで筋が通っているは、という感じで、いわゆる「完全無欠のヒーロー」ということになり、ともすると、観客はこういったヒーローに共感を得ないのではないか?と私は思ってもみました。
しかしながら、少なくとも言えることは、マシュー・モディンは、このラウデンという役を演じきっているということです。マシュー・モディンという役者は、「メディカル・レッスン 青春解剖学」という映画でも、自意識をあまり感じさせない若者を演じていましたが、どうやらそういう爽やかな役柄を得意とするようです。
そしてまた、この映画は、単純なストーリーで深みが無いといわれればそれまでですけれども、それにもかかわらず、アメリカという国を理解する上では、非常に重要な作品といえるのではないでしょうか。
すなわち、アメリカにおいては、今も昔も肉体の力強さというものを全面的に信頼する風土があって、「スポーツというものは、青年が健康的に成長するために重要なことなのだ!」、というメッセージが、ひしひしと画面を通して伝わってきました。
そうです。この映画を観ると、スポーツの楽しさというものを、スポーツをあまり嗜まない人でさえも、おそらく知ることが出来るに違いありません。少なくとも、観念的にスポーツについて、青年にとっての肉体的鍛錬とはどういうことか?ということについて、知ることが出来るでしょう。
また、最後におまけで付け加えると、この映画の主題歌を歌っているマドンナが、ディスコのシーンで出演しているのも見逃せないポイントです。ヒット曲、「Crazy for you」を歌っています。
ユーロトリップ
2007.07.05(10:06)
原題 Eurotrip2004年 アメリカ
監督 ジェフ・シェイファー
出演 スコット・メクロウィッツ、ジェイコブ・ピッツ、ミシェル・トラッテンバーグ、トラビス・ウェスター、マット・デイモン
この映画はまさにバックパッカー旅行を愛する旅人の方にはおすすめの映画です。
ストーリーは、アメリカの高校生が卒業旅行を利用して夏休みにヨーロッパへ行って、メールフレンドと会うという話です。
ヨーロッパのバックパック旅行の楽しさというのが凝縮されているような映画で、イギリスのロンドンにおけるフーリガンであったり、パリの大道芸人や、アムステルダムの猥雑さ、東ヨーロッパの煤けた雰囲気などを、映像を通して楽しむことが出来ます。
はっきり申し上げて、映画としてはそれほどの価値を持たない作品だとは思います。つまり、「不朽の名作」であるとか、大ヒットを記録するような一級のエンターテインメントというわけでもありません。
それにもかかわらず、ある種、漫画的な、肩の力をいれずに楽しめる映画であるので、本当に疲れた気分でいるときにおすすめです。
名作、「アメリカン・パイ」とちょっと似ている雰囲気があります。
愛の狩人
2007.07.03(19:43)
原題 Carnal Knowledge1971年 アメリカ
製作 マイク・ニコルズ
脚本 ジュールス・ファイファー
監督 マイク・ニコルズ
撮影 ジュゼッペ・ロトゥンノ
主演 ジャック・ニコルソン、キャンディス・バーゲン、アーサー・ガーファンクル、アン・マーグレット、リタ・モレノ
この映画には、サイモン&ガーファンクルという有名なフォークソング・デュオのひとり、アーサー・ガーファンクルが出演しています。
個人的に、サイモン&ガーファンクルの大ファンなので、ただそれだけの理由で、「果たしてアート・ガーファンクルが映画に出てどんな演技をするのか?」ということを確かめるためだけに観てみました。
正直言って、この「愛の狩人」という映画はあまり重要な恋愛映画ではないと思います。
ストーリーは、ニューイングランドにある大学寮に住むルームメイトのジョナサン(ジャック・ニコルソン)とサンディ(アーサー・ガーファンクル)のふたりの女性遍歴を追うという話です。
ジョナサンは、名うてのプレイボーイであり、典型的な快楽至上主義者であって、もう一人のサンディーは純粋なロマンチストという設定になっています。
映画の前半部分で美女のスーザン(キャンディス・バーゲン)を、ジョナサンとサンディーが取り合うという話になったのですが、それで私は、「純粋でロマンチストのサンディーの方が恋人を寝取られて、それでふたりの友情にヒビが入るとかそんな話になるのだろうか」と思いました。
しかし、ストーリーはそういったものではなくて、主にジョナサンを中心とした、プレイボーイにとっての心の葛藤、人生の悲劇というものに焦点がしぼられていきます。
あまり面白くなかったです。映画好きな方でしたら、非常に若い頃の、まだ禿頭でないころのジャック・ニコルソンをみることができたり、音楽好きな方であれば、アート・ガーファンクルの演技がみれたりといった特典はあるのですが。
意外だったことは、アート・ガーファンクルがきちんとした演技をしていたことです。どんな役者ぶりなのかなあと興味津々だったのですが。それでも、映画の後半部分で、アート・ガーファンクルが口ひげをつけて登場するシーンがあって、あれはいかがなものかと思いました。
スーパーサイズ・ミー
2007.07.03(19:17)
原題 Super Size Me2002年 アメリカ
製作 モーガン・スパーロック
監督 モーガン・スパーロック
撮影 スコット・アンブロジー
音楽 マイケル・パリッシュ
主演 モーガン・スパーロック、ダリル・アイザック、リサ・ガンジュ、スティーヴン・シーゲル、ブリジット・ベネット
この映画は、ドキュメンタリー映画の傑作であると思います。
ストーリーは、この映画の監督兼キャストのモーガン・スパーロックが、1日3食30日間、マクドナルドのハンバーガーを食べ続けたらどうなるか?ということを実際にやってのけて、その食べ続ける日々を撮影したドキュメンタリーです。
馬鹿馬鹿しいとは思いつつも、その馬鹿馬鹿しいことを真剣に、ひたむきにやってみせるところがアメリカ的といいましょうか。
また、アメリカで問題になっている肥満を原因としたあらゆる病気に対して、警鐘を鳴らすだけの効果がこの映画にはあると思います。
本来、ドキュメンタリーや社会派ルポルタージュというのは、社会の不正や悪に対して、なんらかの反抗の意味をもって作られる場合が多いと思います。
しかしながら、そのドキュメンタリーの理念に反して、ふやけたテイストの単なる商業主義的などうでもいいドキュメンタリー映画が氾濫する中で、このスーパーサイズ・ミーという映画はかなりの迫力と信念でもって、マクドナルドという巨大企業に挑戦して、見事、素晴らしい、社会を動かす作品を作ったと思います。
また、映画全体で、ヒップでスタイリッシュな感じのする映像になっている部分があって、エンターテインメントとして観る人を飽きさせない作りである点も見逃せないところです。「大企業や社会問題にメスを入れる」などというと、途端に大衆というものをまったく無視した独りよがりの、それこそ退屈な作品になってしまうこともよくあるものです。
スーパーサイズ・ミーの場合は、作り手の目線というものが常に大衆や生活者の側にあることが感じられます。そういった部分も好感度が高いです。
肥満という問題は、現代の世界においては、「太っていたらかっこ悪い」だとか、そういったレベルの話ではないことがこの映画を観ているとよくわかります。そして、その肥満が社会問題になっていることの元凶の一つを、マクドナルドというファーストフードにスポットを当てて、徹底的に追求していったこの作品は、本当に素晴らしい、作者の身を賭けた渾身の一作であると私は思いました。
ドキュメンタリー映画 |
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[EDIT]
ニューヨーク・セレナーデ
2007.07.03(07:40)
原題 GET WELL SOON2001年 アメリカ
脚本 ジャスティン・マッカーシー
監督 ジャスティン・マッカーシー
出演 ヴィンセント・ギャロ、コートニー・コックス
この映画はヴィンセント・ギャロの魅力をたっぷりと堪能できる映画だと思います。
ストーリーは、ヴィンセント・ギャロ扮する人気テレビ番組の司会者ボビーが、別れた恋人とよりを戻そうと奮闘するという話です。
現代アメリカ映画において、このニューヨーク・セレナーデのような映画というのは、ちょっと異色であるように思えます。というのは、ニューヨーク・セレナーデというのは、ヨーロッパ映画的な、つまりお洒落でかつ深みのある映像をもった映画だからです。
あまり、映画をつくることで儲けることを意識していないというか、徹底的な芸術至上主義的作品であるとともに、アメリカにおける、社会的に虐げられている人々に対する暖かい目線というものも同時にもっている映画だと思います。
テレビというメディアが、下らない浅薄なものであると、そういう前提にたってこの映画は作られているわけですが、同じように、人気テレビ番組を題材にした最近の映画、「アメリカン・ドリームズ」と比較すると、このニューヨーク・セレナーデのほうが、より繊細であるように思えました。
オースティン・パワーズデラックス
2007.07.03(04:41)
原題 Austin Oowers:The Spy Who Shagged ME1999年 アメリカ
製作 スザンヌ・トッド、ジェニファー・トッド、デミ・ムーア、ジョン・ライオンズ、マイク・マイヤーズ
脚本 マイク・マイヤーズ、マイケル・マッカラーズ
監督 ジェイ・ローチ
撮影 ウェリ・スタイガー
音楽 ジョージ・S・クリントン
主演 マイク・マイヤーズ、ヘザー・グラハム、マイケル・ヨーク、ロバート・ワグナー、ロブ・ロウ
この映画はナンセンスコメディーの決定版といっていいでしょう。
ストーリーは、マイク・マイヤーズ扮するオースティン・パワーズが、世界征服をたくらむドクター・イーヴルと対決するという話です。(マイク・マイヤーズが一人二役をやっているようで、その辺りもこの映画の見所の一つです。)
下ネタを基調としたナンセンスギャグが映画全体を覆っており、また、物語のテンポも非常に速く、それでいて、馬鹿馬鹿しさというものを徹底的に堅持しているので、この映画くらい腹の底から笑える映画はないと思いました。
個人的には、ドクター・イーヴルのクローン、ミニ・ミー(ヴァーン・トロイヤー)が一番でしたが、ミニ・ミーや、巨体の男、ファット・バスタードが出てくるというのは、実にこれは古典的でシンプルな笑いでありまして、こういった笑いというのはシンプルであるからこそ、映画を観る人に強烈な訴求力というものをもった笑いであると考えました。
ただ、この映画はアメリカ映画なんですね。私は、この映画をてっきりイギリス映画だとばかり思っていました。というのは、映画全体で、ロンドンやイギリスが舞台になっているので、それとともに、イギリスを風刺するような笑いが基調になっておりましたので、これはイギリス映画なのかなあとばかり思っていたのです。
この映画は、作り手があまり肩の力をいれずに脱力して楽しんで製作していることが何となく伝わってくる映画です。
ブルース・オールマイティ
2007.07.02(06:22)
原題 Bruce Almighty2003年 アメリカ
製作 トム・シャドヤック、ジェームズ・D・ブルベイカー、マイケル・ボスティック
脚本 スティーヴ・コレン、マーク・オキーフ、スティーヴ・オーデカーク
監督 トム・シャドヤック
撮影 ディーン・セムラー
音楽 ジョン・デブニー
主演 ジム・キャリー、ジェニファー・アニストン
この映画は、ほんのりと楽しめるヒューマンコメディーです。
ストーリーは、アメリカで地方局のレポーターをしていたブルース(ジム・キャリー)が、アンカーマンの座に着こうと思っていたにもかかわらず、ライバルに蹴落とされてしまい、踏んだりけったりの状態のときに神様に会って、「万能の力」を与えられるという話です。超能力めいた力を神様から与えられるわけですが、その力を与えられたあとに、どんな風に人間の意識が変わって行くか?、ということを描いています。
ジム・キャリーのシリアスな演技というのは、コメディアンの印象があまりにも強いためにどうなのかなあ、と思いましたが、この「ブルース・オールマイティー」では、あまり違和感なく観ることが出来ました。
ジム・キャリーの初期の頃の作品とくらべると、かなり役者としての脱皮を図ろうとしているようですが、やっぱり、私は個人的には単なるコメディアンとしてのジム・キャリーに魅了されます。
というのは、ジム・キャリーがシリアスなドラマに出ると、彼が笑わせようとして演技をしているのか、それとも別の意味で真剣にただ演技をしているのか、その辺の区別というものがつきにくい場合があって、そうした場合、映画をすんなりと楽しめないときがあるんですね。
つまり、頭の中でいったん、「これはギャグを言っているのだろうか」と考えなければならなくなって、そういうのであれば、ジム・キャリーの結構初期のころの作品、「ジム・キャリーはMr.ダマー」などのほうが、すんなりと楽しめるわけです。
そうはいいながらも、この「ブルース・オールマイティー」は、随所でジム・キャリーの笑いというものが思ったほど失われていなかったので、安心しました。
存在の耐えられない軽さ
2007.07.02(06:19)
原題 The Unbearable Lightness of Being1987年 アメリカ
製作 ソウル・ゼインツ
脚本 ジャン・クロード・カリエール
監督 フィリップ・カウフマン
撮影 スヴェン・ニクヴィスト
音楽 アラン・スプレット
主演 ダニエル・デイ・ルイス、ジュリエット・ビノシュ、レナ・オリン
この映画は実に素晴らしい恋愛映画です。
ストーリーは、1968年に起きたプラハの春を題材にしていて、脳外科医であったトマーシュ(ダニエル・デイ・ルイス)と田舎娘のテレーザ(ジュリエット・ビノシュ)、そして、自由奔放な画家の女性サビーナ(レナ・オリン)、この三人の奇妙な三角関係と、歴史的変動に見舞われたプラハを舞台に繰り広げられるラブストーリーです。
本当に素晴らしく、ロマンティックな映画であり、この映画を観て感動して、私はチェコのプラハに学生の頃行ってしまったほどです。
この存在の耐えられない軽さという映画を観ると、政治とエロティシズムというものが密接に重なったものであることがよくわかり、また、この映画の原作者のミラン・クンデラが直面したであろう当時のチェコの情況というものが手に取るように分かります。
また、ハリウッド映画らしくない、ヨーロッパ映画のような趣というものを、この映画はかなり多くもっていて、監督のフィリップ・カウフマンの映画制作の繊細さというものを感じました。
登場人物でいうと、田舎娘のテレーザを演じたのはジュリエット・ビノシュですが、純情で愛というものに真っ直ぐに向かっていくその生き方というものを熱演していると思います。
一方、医者でありプレーボーイであるというトマーシュについては、ダニエル・デイ・ルイスがこれまた、粋で危険な香りのプンプンする演技をしており、プレーボーイという役柄の一つの典型を作ったと思います。
トマーシュが映画の中で語っていたセリフで、「二つの人生が送れるなら、一度目は同棲して二度目は追い出すよ。だが、人生は一度きりでやり直しもきかなければ修正もできない」というセリフは、当時のチェコの政治的激動の中で生きる人々の感情を集約したような、そんな重みのあるセリフであるように思えました。
じっくりと、たとえば、秋の夜長などに楽しみたい映画の一つです。
タンゴ
2007.07.02(06:13)
原題 Tango1992年 フランス
製作 フィリップ・カルカッソンヌ、ルネ・クレトマン
脚本 パトリス・ルコント、パトリック・ドヴォルフ
監督 パトリス・ルコント
撮影 エドゥアルド・セラ
音楽 アンジェリーク・ナション、ジャン・クロード・ナション
主演 フィリップ・ノワレ、リシャール・ボーランジェ、ティエリー・レルミット、ミュウ・ミュウ、ジュディット・ゴドレーシュ
パトリス・ルコントという映画監督の渾身の一作であると思います。
ストーリーは、妻に浮気がばれて愛想をつかされて、妻が家出してしまった男ポール(ティエリー・レルミット)が、その妻のマリー(ミュウ・ミュウ)を愛しすぎたために、「もう、妻を殺すしかない」と考えるところから物語は始まります。
ポールは、叔父のエレガン(フィリップ・ノワレ)に相談すると、飛行機乗りのヴァンサン(リシャール・ボーランジェ)を紹介されて、3人の男たちが一緒になって、ポールの妻を追跡するという話です。
ブラック・ユーモアが映画の隅々まで行き渡っているような感じではありますが、このタンゴという映画に与えている特徴というのは、一つのフランス的エスプリというものなのでしょう。
特に、ポールが叔父のエレガンと一緒に、ヴァンサンを初めて訪ねるシーンで、ヴァンサンが釣り糸をつけないで釣りをしているシーンなど、、、なかなか洒落たものです。
映画の全体で話をすると、この映画はロードムービーであり、狂気の愛という重いテーマを扱った作品ながら、どこかのんびりとした、時にはふざけたテイストをもっている作品であります。






