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ムーンリット・ナイト

2007.07.21(14:47)
原題 On A Moonlit Night In una notte di chiaro di luna
1989年 イタリア、フランス
製作 フルヴィオ・ルチザーノ、タラク・ベン・アマール
脚本 リナ・ウェルトミューラー
監督 リナ・ウェルトミューラー
撮影 カルロ・タファーニ
音楽 グレコ・ダンジオ、アヴィヨン・トラヴェル
主演 ルトガー・ハウアー、ナスターシャ・キンスキー、ピーター・オトゥール、フェイ・ダナウェイ、ドミニク・サンダ

この映画は、素晴らしい恋愛映画だと思います。

ストーリーは、自分がエイズ感染者だと知ったジャーナリストのジョン・ノット(ルトガー・ハウアー)と、その恋人ジョエル(ナスターシャ・キンスキー)の、愛と葛藤を描いた作品です。

この映画を観て、最後のラストシーンで思わず涙がボロボロとこぼれてきました。あまり、映画を観て涙を流すことはないものですが(かつて、『ホテル・ニューハンプシャー』という映画を観て泣いたことがあるだけです)、この壮絶な愛の悲劇といいますか、一人の人間の社会に対する反抗精神と、莫大なるこの映画の恋人たちの愛の大きさというものに感動したのです。

病と恋愛というのは、よく恋愛映画だとか、小説のプロットに使われるもので、ともすれば、安っぽいメロドラマ的な、どうでもいい陳腐な作品になってしまうこともあるものです。

しかし、この『ムーンリット・ナイト』という映画の場合ですと、映画の作り手の優しさ、人間の業というものを全面的に肯定する姿勢というものが、強く伝わってきて、非常に強く映画に共感することが出来ました。

このような社会派の作品、ある種のジャーナリスティックな視点をもった作品というのは、教条主義的なドグマにとらわれたり、あるいは、皮相な道徳的作品になってしまうこともあると思います。

『ムーンリット・ナイト』が大きな感動をもった作品になりえたのは、社会ではなくて、人間というものを追求していったからであって、社会というものの前に、まず、愛というものを掘り下げていったからであると思います。

また、この作品に色彩と重みを与えているのは、ナスターシャ・キンスキーという偉大な女優でありまして、この女優は類まれなる美貌の持ち主であるということだけでなくて、何か、尋常ではない存在感というものをもっている女優なのです。『パリ、テキサス』のあの有名なラストシーンもそうですが、クライマックスという映画の一場面に、絶大なる力を発揮する女優であると私は思いました。

演技がうまいだとか下手だとか、そういうレベルの話ではなくて、役者の人間としての存在感というものがどれほど大切なことであるか?ということが、ナスターシャ・キンスキーをみているとよくわかります。

素晴らしい作品です。途中、あまりの切なさに、映画を観ているのもつらくなるような、苦しい感情に襲われることもありますが、この映画を観終わったときに、大いなる感動の瞬間が待っていることでしょう。
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