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マージョリーの告白
2007.07.15(02:28)
原題 Sibling Rivalry1990年 アメリカ
製作 デイヴィッド・レスター、ドン・ミラー、リズ・グロッツアー
脚本 マーサ・ゴールドハーシュ
監督 カール・ライナー
撮影 レイナルド・ヴィラロボス
音楽 ジャック・エリオット
主演 カースティ・アレイ、ビル・プルマン、キャリー・フィッシャー、ジャミー・ガーツ、スコット・バクラ
この映画はちょっと異色のラブ・コメディーです。
ストーリーは、平凡な生活を送っていた主婦マージョリー(カースティ・アレイ)が、たった一度の不倫をきっかけとして、新しい人生に目覚めるという話です。
マージョリーは医師のハリー(スコット・バクラ)とはたからみたら、おしどり夫婦だったわけですが、夫婦間に夜の営みが欠落していることと、夫の一族からないがしろにされていることに対して、心の中で大いなるストレスと不満を抱えていたわけです。
不倫相手は、夫の兄であったのですが、不倫の最中に、ベッドの上でマージョリーの義理の兄はショック死をしてしまいます。
そこから、物語はある種のサスペンス的展開をみせていくわけですが。
まず、この映画は着想が非常にユニークであるところが非常に評価できる点です。
それから、カール・ライナーという監督が作っただけあって、随所に辛口なブラックユーモアを交えたきわどい笑いというものが散りばめられています。カールライナー監督の『天国から落ちた男』でもそうでしたが、この監督が作ると、どこか悲しいテーマをもったコメディーであっても、何かしら人の心に訴える暖かい人間に対する視線というものが感じられるわけです。
また、この『マージョリーの告白』では、ある意味、“日本的”ともいうべき、夫婦間の、また、嫁と姑あるいは、嫁とその一族との軋轢(あつれき)のようなものを細かく描いていて、こういったテーマというものがかなり世界的にみても普遍的なものだと思いました。
すなわち、これは、「意思が弱くて、あるいは性格がのんびりしていて、他人との関係性において、自己主張が出来ずに人間関係に大きなストレスを感じたり、悩んだりする」という人間の心理の問題を描いており、この映画は不倫というテーマを切り口にしているわけですけれども、単にそのテーマにとどまることなく、心に響くものが多い映画になっています。
グリーン・カード
2007.07.14(11:47)
原題 Green Card1990年 アメリカ
製作 ピーター・ウェアー
脚本 ピーター・ウェアー
監督 ピーター・ウェアー
撮影 ジェフリー・シンプソン
音楽 ハンス・ジマー
主演 ジェラール・ドパルデュー、アンディ・マクドウェル、ベベ・ニューワース
この映画はしっとりとした恋愛映画だと思います。
ストーリーは、アメリカの在留資格を得るためだけに結婚をしたフランス人の男、ジョージ・フォレー(ジェラール・ドパルデュー)が、偽装結婚の相手、ブロンティー・パリッシュ(アンディ・マクドウェル)といつの間にか恋に落ちていくという話です。
画面が美しく、ニューヨークの街並みもうまく描かれています。ペントハウスにおいて、この映画の女性、ブロンティーは植物を育てているわけですが、彼女の周囲の人々や、そのライフスタイルというのは、ともすると多分にスノッブ的であるという印象を受けるわけです。
しかしながら、それがあまり嫌味な感じがしないのは、アンディ・マクドウェルという女優の一つの持ち味であり、魅力であるのでしょう。
一方で、ジェラール・ドパルデューも、この映画で彼本来の無骨な、野生の魅力というものを発揮していて、魂を持った役者であることを再確認させられます。
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恋するレストラン
2007.07.13(02:12)
原題 HET SCHNITZELPARADIJS/SCHNITZEL PARADISE2005年 オランダ
脚本 マルコ・ヴァン・ゲフィン、ミモウン・オエイシャ
監督 マルティン・コールホーベン
撮影 グイド・ファン・ゲネップ
主演 ムニール・ヴァレンタイン、ブラハ・ファン・ドゥーシュバーグ、ミモウン・オエイシャ
あまりおすすめ出来ないラブコメ映画です。
ストーリーは、大学進学を目前に控えた青年ノルディップ(ムニール・ヴァレンタイン)が、父の決めた医学部進学に反抗し、レストランの厨房で働き始めるという話です。
レストランでの労働の途中で、ウェイトレスのオランダ美人、アグネス(ブラハ・ファン・ドゥーシュバーグ)と知り合って恋に落ちるわけですが、正直言って、あまりパンチ力の感じられない映画だったので残念でした。
おそらく、映画の作り手は、「社会のことを何も知らない青年が、労働を通じて社会を知り恋を知り、大人になっていく」という映画を作りたかったのでしょうが、私はこの映画を全部見終わるまで、最後まで主人公の青年、ノルディップという男に親近感を覚えることはありませんでした。
一方で、この映画の脇役には、肥って汚らしい厨房のリーダーであるとか、いつも殺気立って肉を切っている男であるとか、色々と策をこらして、魅力的な脇役というものを揃えようとしているその努力はわかったのですけれども、それでもやはり、人間というものに対する洞察があまり感じられない、非常に薄っぺらいドラマになっています。
この映画では、現代オランダが抱える移民の事情なども取り上げているので、その辺りをどのように深く掘り下げていくのか?という部分も期待してみたのですが、あまり、たいした社会批評にはなっていません。
ただ、一つだけこの映画のすぐれている点をあげるとすれば、それは例えば、オープニングなどで、映像がスタイリッシュであったということです。画面の色使いが大変素晴らしいと思いました。アート風で趣味がいい印象です。
ムニール・ヴァレンタイン/恋するレストラン
ナインハーフ2
2007.07.13(01:43)
原題 Another Nine & A Half Weeks1997 アメリカ
製作 スタファン・アーレンベルグ、ヤニック・ベルナール
脚本 マイケル・デイヴィス
監督 アン・ゴールソウ
撮影 ロバート・アラズラキ
音楽 フランシス・ヘインズ、スティーヴン・パーソンズ
主演 ミッキー・ローク、アンジー・エヴァーハート、アガサ・デ・ラ・フォンテーヌ
映画、『ナインハーフ』の続編です。
ストーリーは、恋人に去られたジョン(ミッキー・ローク)がパリに行って、デザイナーのレア(アンジー・エヴァーハート)と出会い、危険な恋の手ほどきをするという話です。
この『ナインハーフ2』でのヒロイン役は、レアでありまして、このレアは前作のエリザベスとは全く対照的な、ある種、肉感的な女性ということになっております。
前作では、ジョンがエリザベスを交際を通じながらだんだんと“調教”していくという話でしたけれども、続編においては、もうすでに性的に奔放であったレアを、ジョンがより奔放にしていくという点で、その辺りが異なる点かと思います。
しかしながら、この『ナインハーフ2』は前作の焼き直しであると思われる点がどうしても多く、ミッキー・ロークのファンであれば、十分に見ごたえはありますけれども、一般的な恋愛映画としての完成度からするとやや不満に思えた部分が多くありました。
また、前作においては、主人公のジョンの生活というのが多少なりとも垣間見れたものでした。ジョンは、何やらウォール・ストリートで株屋をやっているようだ、くらいのことは見えてきました。株屋をやることの傍らに、恋愛遊戯にふけっているという設定が、きちんと前作では見えていたのです。
『ナインハーフ2』の場合、ジョンの生活というものがほとんど見えてこなかったというのがちょっと腑に落ちなかった点なのです。
もちろん、ヒマをもてあます有閑階級の苦悩というものであれば、それはそれでいいのですが、「ジョンが仕事をしてなさそうだ」というところがわかってしまう時点で、物語に深く入り込みづらかったという印象なのです。
好きと言えなくて
2007.07.10(10:16)
原題 The Truth about Cats & Dogs1996年 アメリカ
製作 カリ=エスタ・アルバート
脚本 オードリー・ウェルス
監督 マイケル・レーマン
撮影 ロバート・ブリンクマン
音楽 ハワード・ショア
主演 ユマ・サーマン、ジャニーヌ・ギャロファロ、ベン・チャップリン、ジェイミー・フォックス
この作品は、異性を愛するのは容姿に惚れるからか、それとも内面に惚れるからか?というテーマを描いています。
ストーリーは、ラジオのDJをしていたアビー(ジャニーヌ・ギャロファロ)が、番組のリスナーのブライアン(ベン・チャップリン)と知り合うところから始まります。
アビーはブライアンと会う約束をするのですが、その約束をすっぽかしたあと、かわりにアパートの隣に住んでいた美人モデルのノエル(ユマ・サーマン)をアビー本人だといって、ブライアンをだますのです。
そんな感じで話は進んでいくわけですが、どうもこの映画には、容姿に自信が無くてそれにもかかわらず自分は賢いと思っている人間の、異臭を放つルサンチマンが強く感じられて、映画としてはまあまあ面白いですけれども、手放しで高い評価を与えることは出来ない映画だと思いました。
それとともに、この映画では、「美人だが頭が悪い」とされているモデルのノエルが、あまり救われない結末に終わってしまっています。
ブライアンが、最終的にアビーを選ぶのではなくて、美人モデルのノエルを選ぶのであれば、それはすぐれたアイロニーとして、もっと立派な作品になっていたに違いないと思われて非常に残念です。
もう一つ言えば、「容姿は悪いが、頭は賢い」とされているアビーが、果たして観客の共感を呼ぶような性質の人物に描かれているかどうかというのが、かなり疑問として残りました。
「自分は頭が良いから、身なりはどうでも構わない」という生活態度の人間が周囲にいたとして、そういう人物は、それが女性であれ、男性であれ、多くの人々の理解を得ることが出来るでしょうか。
アビーは、自分の人生を呪って、容姿の醜さを呪って、生きているわけですけれども、そこまでは一般的な不幸として共感できるわけです。
しかしながら、アビーのセリフやモノローグから、「この人物は開き直っていて、一向に反省しようとしない、疑いを持とうとしない」ということがひしひしと感じられて、それが嫌な頑固さに感じられて、「こんな人物がまわりにいたら不快であろうなあ」と思いました。
つまり、アビーは「自分は醜いけれども賢いからいいんだ!」と、そこで自己完結しているわけですから、そこには何の哲学も生まれなければ、人間としての徳といった問題ももう残されていないわけであります。
残っているのは、極度に肥大化した自意識と、迷惑な自己愛の問題だけであって、そういう人物に出会ってしまったブライアンという青年にあわれを感じました。
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